「あ、おはよう。なまえ」
「おはよー」
あさイチ、登校してすぐ、ツナいつものように挨拶をする。
私とツナは小学生から友達だ。ただの友達じゃない、親友だ。
出会ったきっかけは、小さい頃、公園で一人遊んでいたツナになんとなく声をかけたこと。
今思えばたぶん、ツナの滲み出るいい人オーラというか、カリスマ性みたいなものに子供の勘が働いたのかもしれない。
「それでさー、その女優がすごい可愛くって。ふふ、京子ちゃん似なんだ、今度見てみてよ」
最後だけツナの耳元で囁けば、ツナは顔を真っ赤にして周囲を見渡した。
「なっ。ちょ、ちょ、なまえ、教室でそういうこと言わないでってば!」
「あはは、だから内緒話にしたんじゃん」
「聞こえたらどうすんだよ……!」
ツナの机の横に立って二人で雑談していると、すぱーんと景気の良く教室の扉が開く音がした。
それとともに入ってきたソイツは(無駄に)整った顔に笑顔を浮かべる。
「おはようございます!十代目!」
「う、うん。おはよう獄寺君」
ツナが引き気味なのを全く気にせず、そいつ、獄寺隼人はツナの右側にやってくる。チッ、もう虫がきやがったか。
私の心の声と眉間の皺とに反応したのか、獄寺がこっちを睨みつけてきた。
「……なに。なんか用?」
「……チッ。十代目に付きまといやがって……」
はぁ〜? なにコイツ。なにコイツ!
「はっ、ツナに付きまとってんのはそっちじゃん」
「あ゛ぁ?」
「自称。じ、しょ、う、右腕なら、ツナが困ってることくらい察しなよ」
言いながら、ツナを挟んで後ろに隠れる。
だって獄寺怖いし。目が怖い。後ろに黒いなにかが出てる。
「テメェ……!」
「なにさ」
声が震えそうになるけどぐっと耐える。くそ〜このやり取りも何回もしてるけどやっぱ怖い。けど一度でも負けたら絶対にこいつは調子に乗る。ただでさえ、あんまり特定の友達がいなかったツナを取られる(いやこの言い方はなんか違う気がするけど!)かもしれないのだ。ツナの一番の友達は私だ! 親友の座は渡さん!
ぎりぎりと私と獄寺が睨み合っていると、
「ちょ、なまえ、獄寺君、落ち着いて……」
とツナが割って入った。
「なまえ、獄寺君は(怖いけど)悪い人じゃないよ」
「う、で、でもぉ……」
うぅ。ツナがそういうならそうなんだろうけどさ。でも、なんか気に入らない。今だってこっち見ながら勝ち誇った顔してるし! むかつく。
獄寺を睨みながらふてくされていると、頭に手がのった。
と同時に獄寺の睨みが強くなった。気がする。
「ご、獄寺君も、なまえはオレの大切な親友なんだ。あんまり邪険にしないでくれよ」
「〜〜っツナぁ……!」
「わっ」
「……ってめ、十代目から離れやがれ!」
「ふんだ。悔しいなら引っぺがすかアンタも真似するかしたら〜? できないだろうけどっ」
「こんのっ」
獄寺が私に触りたくないのも、ツナに(恐れ多いだとかで)触れないのもお見通しだ。
ふんっとドヤ顔で挑発すると、また眉間の皴が増えた。