マリンフォード頂上戦争と呼ばれる戦いが終結した。

「いやー、びっくりびっくり」
アマゾンリリーを出航して数時間。
暇を持て余したのか、シャチはリザの元にやってきて、聞き飽きた言葉を言う。

「まさかリザと麦わらが知り合いとはなぁ」
「何回言えば気が済むんです? 最近それしか言ってないじゃないですか」
「だってよー。ずっと海賊相手に泥棒してきたおまえが海賊と知り合いで、しかも友好的なんて驚くだろ」
「だから、前にお世話になってたバーの店主の知り合いで、友達の友達みたいなものなんですって」

このも何度目だ。思わずため息をつく。
話しかけられるのは良いのだが、ここ最近はリザへの嫉妬がひどくて困っているのだ。
案の定、シャチは恒例のセリフを口にした。

「ていうかズルイよな。一人だけ女ヶ島に入るなんてよ」
「シャチ先輩が女なら代わってあげましたよ、伝言役くらい」

リザが深くため息を吐いた。
何もこの嫉妬はシャチだけではない。ペンギンを始めとした他のクルーも麦わらと知り合いの女であるリザが伝言役に抜擢されたことをやっかんでいるのだ。
誰と話していても最終的にこの話になり、いい加減うんざりする。

「バカ、女ヶ島ってのは男のロマンだぜ? あんな状況じゃなけりゃ中に入れたのに!」
「そして石にされて帰ってこないんですね。ご愁傷様です」
「つめてーな」
「私でさえ一歩間違えれば石になってたんですから、シャチさんなんて一発ですよ」

リザはルフィと少し親しいと聞いただけで女帝に睨まれたことを思い出した。
それでも悪い気はせず、寧ろ見つめられていると歓喜してしまう。思い出したらどきどきしてきた……。
同性のリザでさえこの始末なのだから、男なんてひとたまりもないだろう。何も思わないルフィがおかしいのだ。

「なぁリザ」
「なんですかー」

シャチの扱いがだいぶ投げやりになってきているのを自覚しながら、リザはだらんと縁に体を預けた。
シャチはそれをおかまいなしに、口を開く。

「お前ってジャンバールになんであんなになついてんの?」

本日3回のやりとりにシャチもいい加減飽きたのか、違う話を振ってきた。
おや、とリザが目を瞬きながら、
「お父さんですからね」
と答えると、
「そうじゃねえって」
と小突かれた。

「ジャンバールのことだけじゃなくてよ。おれらおまえのこと全く知らねえなーと思ってさ」
「身の上話ですか。長いですよ〜」
「いいからいいから。暇なんだし、調度いいじゃねぇか」
「そうですねぇ。とりあえず雨降ってきたので、中入りませんか?」