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叡山くんを叡山と呼ぶようになった次の日、お昼を食べるメンバーになぜか矢切くんが加わっていた。
「いやなんでだ!」
昼休みに入って弁当箱を持ってやってきた矢切くんに私が思わず叫ぶと、矢切くんは鬱陶しそうに言った。
「あの件は終わりだって言ったのはおまえだろ」
「そうだけど、うろちょろしないでとも言ったよね?」
「うろちょろはしてねえだろ。堂々と絡んでる」
「そういう問題じゃないわ」
私と矢切くんがグチグチ言い合っていると、新堂くんが取りなして、結局四人で食べることになった。ちなみにこの間一色くんはニコニコしている。
「新堂くんがいいなら別にいいんだけどさ。矢切くんってもしかして、同じクラスに友達いないの?」
「うるせえよ」
「うわ、図星かあ」
そんな柄悪くしてるからだ。と笑うと、一色くんが意外そうにして言った。
「秋ヶ瀬さん最初は怯えてたのに、いつの間にそんなに仲良くなったんだい?」
「仲良くないよ。怖がってたのは、年上っていう可能性があったのと、不良耐性もなかったのが大きいかな」
平和な社会で生きてきたものですから……。
「でも今はわりと平気だよ」
私がベーコンとホウレン草の炒め物を租借しながら頷くと、一色くんは「良かったね」と笑った。別に良くはないけど。
私が一色くんと話始めると他の二人は二人で話始めたので、ついでに思い出したことを言っておく。
「そういえばさ、矢切くんへの伝言について、叡山になんか言ってくれたんでしょ。ありがとう」
「僕は特に何もしてないよ。それより叡山くんのこと呼び捨てで呼んでるんだね」
「うん。本人からは拒否られてるんだけど、まあ問答無用だよね」
なんだか誤魔化された気もするけど、お礼が言えたので特に問題はない。
「秋ヶ瀬さんって案外強引だね」
「そうかな。弟がいるからかも」
年下の兄弟がいると面倒見がよくなるなんてのは全兄姉に言えることではなくて、私の場合は弟をまるで下僕のように扱っているので、かえって傍若無人に育っているのだ。
「僕のことも気安く呼んでくれていいんだよ」
一色くんがいつも通り年齢詐欺な微笑みを携えそう言った。
「うーん、別に親しみを込めて読んでるわけじゃなくて、『くん』って呼ぶのが違和感あるだけなんだよね」
だから別に、一色くんや新堂くんより叡山の方が気安いとかそんなんではないのだ。
ついでにいうと、ふたりを呼び捨てで呼ぶのは私のなかで凄く違和感がある。
「一色くんは一色くんが一番しっくり来るよ。一色くんこそ、私のこと好きに呼んでいいからね」
「ありがとう。でも僕も、秋ヶ瀬さんは秋ヶ瀬さんって感じかな」
確かに一色くんが誰かを呼び捨てにするのって想像できない。
後日、自分を呼び捨てにするなら矢切もそうしろと諦めきった顔の叡山から言われたので、矢切くんのことは矢切と呼ぶことにした。しっくりしっくり。
「いやなんでだ!」
昼休みに入って弁当箱を持ってやってきた矢切くんに私が思わず叫ぶと、矢切くんは鬱陶しそうに言った。
「あの件は終わりだって言ったのはおまえだろ」
「そうだけど、うろちょろしないでとも言ったよね?」
「うろちょろはしてねえだろ。堂々と絡んでる」
「そういう問題じゃないわ」
私と矢切くんがグチグチ言い合っていると、新堂くんが取りなして、結局四人で食べることになった。ちなみにこの間一色くんはニコニコしている。
「新堂くんがいいなら別にいいんだけどさ。矢切くんってもしかして、同じクラスに友達いないの?」
「うるせえよ」
「うわ、図星かあ」
そんな柄悪くしてるからだ。と笑うと、一色くんが意外そうにして言った。
「秋ヶ瀬さん最初は怯えてたのに、いつの間にそんなに仲良くなったんだい?」
「仲良くないよ。怖がってたのは、年上っていう可能性があったのと、不良耐性もなかったのが大きいかな」
平和な社会で生きてきたものですから……。
「でも今はわりと平気だよ」
私がベーコンとホウレン草の炒め物を租借しながら頷くと、一色くんは「良かったね」と笑った。別に良くはないけど。
私が一色くんと話始めると他の二人は二人で話始めたので、ついでに思い出したことを言っておく。
「そういえばさ、矢切くんへの伝言について、叡山になんか言ってくれたんでしょ。ありがとう」
「僕は特に何もしてないよ。それより叡山くんのこと呼び捨てで呼んでるんだね」
「うん。本人からは拒否られてるんだけど、まあ問答無用だよね」
なんだか誤魔化された気もするけど、お礼が言えたので特に問題はない。
「秋ヶ瀬さんって案外強引だね」
「そうかな。弟がいるからかも」
年下の兄弟がいると面倒見がよくなるなんてのは全兄姉に言えることではなくて、私の場合は弟をまるで下僕のように扱っているので、かえって傍若無人に育っているのだ。
「僕のことも気安く呼んでくれていいんだよ」
一色くんがいつも通り年齢詐欺な微笑みを携えそう言った。
「うーん、別に親しみを込めて読んでるわけじゃなくて、『くん』って呼ぶのが違和感あるだけなんだよね」
だから別に、一色くんや新堂くんより叡山の方が気安いとかそんなんではないのだ。
ついでにいうと、ふたりを呼び捨てで呼ぶのは私のなかで凄く違和感がある。
「一色くんは一色くんが一番しっくり来るよ。一色くんこそ、私のこと好きに呼んでいいからね」
「ありがとう。でも僕も、秋ヶ瀬さんは秋ヶ瀬さんって感じかな」
確かに一色くんが誰かを呼び捨てにするのって想像できない。
後日、自分を呼び捨てにするなら矢切もそうしろと諦めきった顔の叡山から言われたので、矢切くんのことは矢切と呼ぶことにした。しっくりしっくり。
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