扉のすぐそばが私の席なので、結構ちらちらとみられる。入学試験のひと悶着を知っているひとたちが、ゲッという顔をするのがわかった。その反応に気付いた一色くんが「なにかあったの?」と顔を寄せて聞いてきた。

「あー……、入試のときにちょっとね」
「入試?」

わりと目立ってたと思うんだけど、一色くんは知らないみたいだ。
ちょっと自意識過剰だったかな。だかといって事情を説明するのも嫌だ。
私がどうしようもなくて押し黙っていると、救世主が現れた。

「あっ」
「ん?」

聞き覚えのある振り向くと、新堂くんだった。新堂くんは私と目が合うと、昨日のことを思い出したのか照れたようにはにかんだ。え、可愛いな?

「お、おはよう秋ヶ瀬さん」
「おはよ」

私が新堂くんに癒されていると、一色くんが親し気に手を挙げた。

「やあ、幸太郎くん。おはよう」
「慧くん。久しぶりだね」
「え、知り合い?」

久しぶり、の言葉に反応して私が聞くと、ふたりは揃って頷いた。

「家同士でつながりがあってね。それで偶にね」
「へえ」

家? ……いいや、なんとなく察しはつくから。

「それで、ふたりはどういう繋がりなんだい?」

今度は一色くんが首をかしげて聞いた。

「ペアなんだ」
「うん、僕から無理言ったんだけどね」
「いいよいいよ、どうせ相手なんていなかったからさ」
「へえ! 幸太郎くんが?」

一色くんは少し驚いたような顔で私を見た。なんだなんだ。
それから久しぶりに会ったらしい二人はお互いの近況報告のようなことをし始めたのだけど、それが私の常識を超える近況でぎょっとした。
もしかしたら私と同じような一般家庭出身だから私を選んだのかなと思ってたけど、全然じゃないか新堂くん!


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