そんなこんなで始まった私の中学校生活は、意外にも静かに幕を開けた。
一般家庭出身というのがいけないのだろう、新しい友達はさっぱりできなかったが、一応新堂くんや一色くんが仲良くしてくれるので、独りぼっちということはない。

とはいうものの、同性の友人が欲しいというのも本音である。ためしにきょろきょろとあたりを見回してみる。何人かと目が合うが、いずれも逸らされたり、嘲られたりと芳しくない反応だ。

「!」

ひとり、じっとこちらを見据えた男子生徒がいた。

「……」
「……」

お? おお?
お互い目を逸らさないまま、数秒フリーズ。その後、これはチャンスなのではないかと思い、声をかけようとしたところ、視線をふいと逸らされた。ああ……。

私も身体をもとの体勢にもどし、さっきの男子生徒について考え始めた。

私の斜め後ろ方面に座る彼は、恐らく私をよく見ている。とんだナルシスト発言だが、私の持つ『一般家庭出身』というステータスはそれほどのものだということを入学数日で痛感している。
加えて何やら新堂くんと一色くんも変わった立場にあるらしく、なんだかんだ人目を引くのだ。

話を戻そう。
その男子生徒……ええと、なんだっけ、確か、エイザンくんだったかな。自己紹介のときに漢字が全く想像できなかった印象がある。
なんだかちょっと怖そうな雰囲気をしているけれど、私に対して悪口を言ったことはない。少なくとも、私の耳にはいる範囲では。

これはやっぱり、チャンスなんじゃないだろうか。
怖そうだけれど、ああいう確固たる自分を持ってそうなひとって些細なこと気にしなさそうだし……そうと決まれば隙を見てアプローチをかけてみよう!

次の日の朝、教室にやってきたエイザンくんと目があったので、思いきって笑いかけてみた。

「おはよ!」
「話しかけんじゃねえ」

一蹴されてしまった。


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