act.15

あたしは刀振り回したくて真選組に入った筈なんだけどな……

「紅羽の顔立ちならきっと紅色が似合いまさァ。」

「総悟ォ、オメェはまァだ餓鬼だなァ。紅羽ちゃんにはァ黒のミニだァ。」

「ダメですよ、松平様。今やミニブームで猫も杓子もミニミニ!!ここは古風に薄浅葱の振袖を!!」

「いやぁ、黒刃殿ぉ。振袖は賛成ですが、やっぱ女の子はピンクでしょお!!ピンク!!」

「み、ミントンの…」

「「オメェ「貴方「は黙って」ろ」ィ」なさい。」

「………うぅ……」


………おかしいなぁ。


act.15
最後の砦が崩壊したっ!!!


前方を生き生きと歩く野郎4人(除、山崎さん/だってミントン。)の背中にバズーカぶっ放したくてしょうがない。
人の意見も聞かねぇでさっさと話進めやがって!!

「般若みてぇな面すんな。皆 鷹居を思っての行動だ。」

隣を歩く、同じくやる気ゼロの土方さんがあたしに言った。

「瞳孔全開で滅茶滅茶やる気のなさげな人に言われても説得力の欠片もないんですけど。」

「俺だってめんどくせェんだよ。」

「じゃあ帰りましょうよ。」

「夜道で刺されるぞ。」

「あたしが刺されなきゃ良いですよ。」

「テメェェェェェ!!!やんのかコラ!!」

「いたいけな少女に何をやるんですか。」

「どの辺いたいけ?!てか、自分で言うなっ!!」

あー、久し振りに土方さん弄ったけど、やっぱ楽しいな。最高の突っ込みだよ。
今日もキレてますな。

「あ゙ーーー畜生、天気良いなぁ、腹立つ。神様ー!!前方の5人(含、山崎さん/もうめんどい)の上だけ嵐にして下さぁーーーい!!」

「やめろ、煩ぇ。あと恥ずかしくねぇのか。」

「もういいッスよ。恥じらいなんざ、2つの時にティッシュに繰るんで捨てました。」

「お前、ホントに女の子っ?!!」

大袈裟に溜め息をつく土方さん。
やっべ、これ楽しい。癖になる。
沖田さんの気持ちが分かるような気がしました。アレ?作文?


そうこうしている内に、バカみたいに立派な店の前に前方の5人が足を止めた。

「………」

ん?何だ、この店?やたらハードな感じなんですけど。店頭にやたらビニロンでセクシーな服が並んでるんですけど。

「まずは俺のオススメでさァ。さ、入りやしょう。」

「待て。」

何も気にせず入ろうとする沖田さんの肩を鷲掴んだ。

「何ですかィ、紅羽。」

「何ですかィ、じゃねーよ。何スか、この店。」

あたしは店を指差して、沖田さんに問う。
すると、沖田さんは不思議そうに首を傾げた。

「何って…見て分かりやせんか?SMコスチュームの店でさァ。

「見りゃ分かるわっ!!何故にこの店っ!!?」

「いやァ紅羽からは俺と似た匂いを感じましてねェ。似合うと思うんですけど。」

これ、と店頭に飾ってある初期のにし〇かす〇こみたいなボンデージを指す。

「似合うかっ!!てか、着るかァァァァァ!!!着物買いに来たんでしょーがっ!!着物!!和服ですよ、和服!!こんなん着て遊園地になんか行ってみろっ!!警察沙汰だ、ボケェェェェェ!!」

あんまりにも憎たらしくて、沖田さんの着物の襟を掴んで怒鳴ってしまった。畜生、爽やかなのは外見だけですかコノヤロー!!

「大丈夫でさァ。俺らが警察ですから。ねぇ、土方さん。」

あ、沖田さん、開き直った。

「俺に振るな。」

「ちぇ、カッコつけちゃって。土方さんMなんですから正直になったらどうでィ。」

「しばくぞ。」

「えっ、マジすか、沖田さん?!!」

「ええ、男のMはキツいですよねィ。」

「適当な事言ってんじゃねェェェェェェ!!!つか、鷹居、テメ、何信じてんだァァァァァァァァ!!!」

「はいはい、分かりました分かりました。すいませんね。」

「何その態度っ!!?」

これ以上ぐだぐだ言い争いしても、始まらないので、あたしは土方さんを流し、店に入らんとする兄者達を連れ戻して、その場を後にした。

*****

「………」

続いて一行が足を止めたのは、一見普通の衣料品店。
だがしかし、あの、店頭に、何か、何スか、アレ?ブレザー?セーラー?
あれ?病院とか飛行機内で見る特殊な服があるんですけど。

「実はお妙さんに着て欲しいんだけど、照れちゃってね。」

「おォ〜ゴリラァ〜、分かってんじゃぁねぇのぉ〜。」

「待て。止まれ。グラサン&ゴリラ。」

入る気満々なグラサン&ゴリラをあたしは一際低い声で呼び止めた。
何か、グループ名みたいだな、グラサン&ゴリラって。だから何だって話だけどな。

「ん?どしたの、紅羽ちゃん?」

「どしたの?、じゃねーよゴリラ。何だこれ。何の店だ。言ってみやがれ。」

「アレ?タメ口?てか、命令形?」

「さっさと言わんかい、ボケ。動物園に売り飛ばすぞ。」

「あ、ごめんなさい。ちょ、構えないで!!えっと、ここは俺オススメのコスプレ衣装のお店です。」

「へぇ〜、そうですかぁ〜。ふぅ〜ん…歯ぁ食い縛れ。

「え、ちょ、待っ…あべしっ!!?

とりあえず近藤さんを力一杯殴り、松平公に出来る限り凶悪な眼を飛ばし、あたしらはその場を後にした。

*****

続いて一行が足を止めたのは、やっぱり一見普通の衣料品店。

そしてやっぱり、だがしかし、

何かやたらダークな雰囲気なんですけど。店頭にリボンもレースも一杯の着物が並んでるんですけど。

「あ〜、ここ、ここォ。オジサンオススメのお店ェ〜」

「死ね。」

「え、ちょ、紅羽ちゃぶはぁ!!?

「てンめェこのクソジジィィィィ!!!ゴスロリショップじゃねーかっ!!!人の事何だと思ってンだァァァァァァァァァァ!!!」

「やめなさい、紅羽っ!!SMやコスプレよりマシでしょう!!?それに私はゴスロリ結構好きですよ。

「関係あるかっ!!この駄目兄ィィィィィィィィィィ!!!!!」

「っ、ああァァァァァァァ?!!」


あたしを押さえようとする兄者の言葉にもう我慢ならなくて、つい、ホントに不可抗力に、肩に置かれた兄者の手を掴み、松平公に向かって背負い投げしてしまった。

「「「「「あ。」」」」」

松平公は店の真ん前に立ってた訳で、あたしはそこに兄者を投げ飛ばした訳で、そうするとつまりアレな訳で……

ガシャーン!!!
バリバリバリバリッ!!!


「なっ何事で……ぎゃぁぁぁぁぁぁ!!?私の店がァァァァァァァァ!!!」

店員さん……あ、店長さんかな?が出てきて悲鳴をあげた。

「あーぁ、紅羽のせいですぜ。こりぁ器物損害罪でさァ。」

「ええっ?!あたしのせいっすか?!」

「罰金は間違いねェな。あとは損害賠償か?」

「え゙え゙え゙え゙え゙っ!!?ばっ罰金って…そんな、そんなっ…!」
「そんなの私が許しませんっ!!!!」

「あ、兄者っ?!」

ガラスの破片がざっくざっく刺さって血塗れの兄者が【罰金】に反応して起き上がり、血眼で言い放った。

「あああああ兄者っ!!し、止血をっ!!」

「罰金だ、損害賠償だなんて、私が許しませんっ!!払いませんからね、何があってもっ!!ええ、例え近藤さんが妙さんと結婚したとしても鐚一文払いませんからねっ!!」

「え、紅刃殿、それ酷くない?そこって普通地球が爆発してもとかじゃない?」

近藤さん、突っ込み所が違うよ。
それ、どうでもいいだろ。

「や、でも、兄者、法律で…」

「ならばっ!!紅羽っ!!貴女が身体で返しなさいっ!!!

「からっ、……はぁァァァァァァァァァっ!!?

「金額分、此方のお店で働きなさいっ!!貴女、裁縫も出来ますよね?!破れた商品も縫えばいいじゃないですかっ!!」

「なっ?!無理無理無理無理っ!!あたしレジ打ちできないしっ!!それにホラ、公務員はバイトしちゃいけないし!!」

「それなら心配要りませんっ!!松平様、紅羽がゴスロリ着るので、短期バイト許してやってくれますよね?!」

兄者は自分の足に敷いている警察庁長官に話を振った。って、足に敷いてるっ?!いいのかそれっ?!!

「マぁジでかァ〜?!ぃよォし、オジサン、紅羽ちゃんの短期バイト許可しちゃう〜。」

「即決?!」

血塗れのグラサンオヤジは、兄者の足に敷かれてる事は別段気にせず、嬉々として言った。くそぅ、このエロジジイが。しかしそうなるとあたしは初任務放棄になるのだから問題だ。

「つか、そしたら栗子嬢護衛の任務はどうなんだよっ?!」

「そんなの関係ねぇ!!」

「いや、兄者、古いからっ!!」

「栗子嬢如き私が適当に誘惑すれば何とかなります!!今は罰金を如何にして払わないかの方が重要です!!」

「え、黒刃、それ酷くないっ?!」

「え゙え゙え゙え゙え゙え゙え゙っ!!?ちょ、駄目だ。この人駄目だっ!!沖田さんっ!!助けて下さいっ!!」

金の事しか頭にない兄者の説得はあたし一人じゃどうにもならんので、一番近場にいた沖田さんに助けを求める。

「いや〜、いいんじゃねェですかィ?紅羽のゴスロリ見る価値はありまさァ。」

駄目だァァァァァァァァ!!この人もあっちの仲間だったァァァァァァァァ!!じ、じゃあ、スタート時から殆んど喋ってない山崎さん!!山崎さん、ヘルプっ!!」

そうだよ!!この人さっきあたしにボンデージ着ろとか言ってたよ!!畜生!!
あたしは次にミントンの大会の事しか頭にない山崎さんに助けを求めた。

「た、大会終わっちゃうっ!!」

うわァァァァァァァァ!!この人、ホントにミントンしか頭にねェェェェェ!!」

くそっ!!何だよ、他のサイト様だといつも主人公の味方なのにっ!!

こうなったら、目には目を、歯には歯を!!ハンムラビ法典に則って、アホにはアホだ!!

「近藤さんっ!!」

「いやー、ゴスロリねぇ。可愛いけどそれならやっぱナースの方が俺は良いなぁ。ホントはお妙さんに着て欲しいけども。」

どーでもいいわァァァァァァァァ!!オメーの趣味聞いてンじゃねぇんだよ、ゴリラァァァァァァァァ!!」

アホはやっぱりアホだった!!
マイナス×マイナス=プラスが成り立つのは数学の世界だけの話だったっ!!

「クソッ!どいつもこいつもっ!!人の事何だと思ってやがんだっ!!土方さん!!何とか言ってやって下さいよっ!!」

「………」

「え、何で黙ってんの?何で顔背けてんの?何で微妙に俯いてんの?何で微妙に震えてんの?笑ってんの?」

「…………っ、うるせぇ」

あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙っ!!!嘘だろォォォォォォォォォっ?!最後の砦が崩壊したっ!!!ゴスロリ如きに崩壊したァァァァァァァァ!!!」

何これ?!四面楚歌?!!いや、六面ゴスロリかっ?!今なら項羽の気持ちが如実に分かるよ!!ごめんよ項羽、今まで心の底から分かってあげられなくて!!今分かったからっ!!だから誰か助けてっ!!!!

「さぁ〜あ、紅羽!!6対1ですよ。観念なさいっ!!」

「するかっ!!別に兄者が罰金払わなきゃ良いんだろ?!だったらあたしが自分の貯金はたいて払ってやるっ!!」

「駄目ですっ!!私の貯金は私のものですが、貴女の貯金も私のものなのですからっ!!」

「何だそれっ!!?どこまでがめついんだアンタはっ!!」

土方さんの反応を見てか、更にやる気を増した忌々しいこと山の如しな兄者が流血しながらにじり寄り、あたしは比例して後退さる。

「着ねぇっ!!絶対着ねぇからなっ!!店長さん、賠償金はいくらですか?!!」

「あ、いえ……そんな大したものでは………」

「あるんですよね、あるのですよね?250万位ですよね?!!!」

「い、いえ……」

「んなするかァァァァァァァァ!!!アンタ貯金ばっかしてっから金銭感覚可笑しいんじゃねっ?!!!」

「いいえ違います!!見なさいあの細かいレース!!一体いくらするのやらっ!!!」

「…………あの、私の店の前で騒がないで下さい………」

店長さんの小さな願いはエキサイトする兄妹喧嘩の前には無力だった……。

「何だ何だァ?喧嘩か?!」

「おぅ、何か知らねぇが睨みあってんのよ!!」

「へぇ、そりゃいいね!!負けるな!!小さい方っ!!」

いつの間にかあたしらの回りは野次馬でバリケードが形成されていた。つか、小さい方ってあたしかっ?!その前に、兄ちゃん達っつったな?!そんなに野郎染みてるか、あたしっ!!?

「着なさいっ!!」

「嫌だっ!!」

「着なさいっ!!」

「嫌だっ!!」

「着なさいっ!!」

「嫌だっ!!」

「着なくてよいっ!!」

「い、…違うっ!!着ないっ!!」

「…っち。」

「っち、じゃねぇよっ!!」

しかしバリケードなんざ気にもならず不毛な戦いはヒートアップする。


「いやぁ、俺マジ栗子とヨリ戻せるなんて思ってなかったし?マジ嬉しいんだけどォ。」

「わたくしもで御座いまする。あの時は本当に申し訳なかったで御座いまする。」

「いいっていいって!!また仲良くやってこうなっ!!」

「はい、に御座いまするっ!」

ん?何か変なカップルがいますよ。女の子の方可愛いけど、野郎の方は牛みてぇだな。

「あら、七兵衛さま。アレは何で御座いまするか?」

「ん?喧嘩か?栗子危ないから下がってな。」

「喧嘩、で御座いまするか?」

女の子が顔をこっちに向けた。
あ、ほんと可愛い。偶々目が合っちまったよ、チクショー。

「余所見は禁物ですよっ!!」

兄者の声に顔を戻せば、アレ?何か変なの持ってる!!

「何ちゃっかり着物拝借してんだよっ!!着ねぇって言ってんだろーがっ!!オレが来たらオカマだよ、オカマ!!」

「良いでしょうが!!貴女、オカマ友達多いんですから!!」

「オカマ友達なっ!!誤解を招く発言すんなっ!!駄目兄っ!!」

「駄目で結構!!これを逃したら貴女の女装が一生見れませんっ!!」

「女装じゃねェェェェェェェェェェ!!!」

果たしてどうなることやら……

To be continued……

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