act.21

「たーえーちゃぁーん!!」

「あれっ?!ちょ、鷹居さん、ここ僕ん家……」

「何ィ!!?ダメガネっ!!貴様妙ちゃんの何だっ!?返答によってはミンチにするっ!!」

「え゙え゙え゙え゙え゙え゙っ!?何それっ!?酷いです、ってぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!


act.21
スキャンダルにもサンダルにも


「あらあら、皆さん御揃いで。」

「あっ!妙ちゃんっ!!久し振りっ!!」

玄関先でダメガネをボコボコにしていると、奥から妙ちゃんが現れた。

「あ、姉上っ!!助けて下さいっ!!」

「あら、新ちゃん。何してるの?新ちゃんは何時からMになったのかしら?」

「違うからっ!!助けてって言ってるじゃないですか、姉上っ!!」

「え?姉上?」

ダメガネが吐いた言葉にあたしは握り拳を一瞬止め、妙ちゃんとダメガネの顔を交互に見る。

「…姉上?」

「そうですよ、鷹居さんっ!!僕はそこの姉上の弟ですって!!」

「………似てない。」

「や、そうかもしれないけど、ちゃんと弟だから。苗字志村だから…!」

マジかっ?!!

今更っ?!

「妙ちゃん、コイツ言ってる事ってホント?!」

「ええ。不本意だけどね。」

「それ酷っ!!姉上、それ酷ォォォォォォ!!!」

「酷いのはテメーだ、ダメガネェェェェェ!!おまっ、そんな顔とキャラで妙ちゃんの弟だとォォォォォっ!!羨ましいっ!!ミンチ決定だァァァァァァァ!!!

「ちょ、んな理不じあ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙っ!!!

「ちょ…、多串君、何あれ?何なのあの子…?」

「誰が多串だ。アイツはああいう奴なんだよ。」

「へ、へぇ……」

*****

「あ、そうなんだ。皆、妙ちゃんの下僕なんだ。」

「ええ。新ちゃんを筆頭に全く使えないの。」

「ちょ!!違うからっ!!下僕じゃないからっ!!つか姉上酷っ!!」

一通り新八ことダメガネをボコったあたしは妙ちゃんに招かれ彼女の家に上げてもらった。
勿論土方さん達4人と狛子を含む2匹と一緒に。

外ではまだキャアキャアと鷹居紅刃を探すエレクトリカルなパレードの如き声がする。

「にしてもよぉ、えらい人気じゃないの、えーっと…」

「あ、鷹居です。鷹居紅刃です、パー子さん。」

「だからパー子じゃないから。何それ?ここまで来ると嫌がらせだよ?昔の傷掘り返してるよ?他人の傷掘り返して楽しいですか、コノヤロー!!」

「あ、すんません、坂田さん。」

「あ!そうだっ!!」

パー子さんこと坂田さんにあたしが謝ると、ダメガネが思い出したかのように、手を打つ。
行動が古いな、ダメガネ。

「鷹居さんって、確か紅羽ってお名前だったと思うんですけど…」

げ……、

何変な事覚えてんだよ、ダメガネっ!!レジ打ちも覚えなかったくせに!!あたしもだけどっ!!

「僕の記憶だと男物しか着ない女性だったような気もするんだけど……鷹居さんって男性でしたっけ?」

ちょ、……何コイツぅぅぅぅぅ!!!
の○゙太みたいな顔して鋭いなァ、オイィィィィィィィ!!!○び太ならのび○らしく“うわーん、ドラ○も〜ん!!”とか言ってろっつーのっ!!!!

………まぁ、どーせ顔割れてるし、妙ちゃんの弟だし、ここにいんのも妙ちゃんの知り合いだけだし……教えても良いか。

「……はぁ、まぁ、ダメガネが言ってる事は、」

何言ってるアルか新八っ!!!!!THE EDOが嘘つくわけないネ!!!!この兄ちゃんは今をトキメク男ヨ!!!見てみるネ!!その証拠に姉御より胸がないっ!!!

「………ん?」

パンッ!!

あれ?何か可笑しな誤解が生まれてるんですけど。
チャイナの子めちゃくちゃあたしを男だと信じてるんですけど。
妙ちゃんより胸がないって、今晒し巻いてるからなんですけど。

つーか、背中から胸に手ぇ回してるんですけどっ!!

「ちょ、御嬢ちゃん、何してんのっ?!!!」

「!?あれ?おかしいネ、何か微妙に柔らかい。」

「マジでか!?ちょ、神楽、替われっ!!俺が確かめてやるからっ!!」

「何言ってるんですか銀さんんんんん!!!女性だったらどうするんですかァァァ?!!セクハラですよ!!今度こそ刑務所行きですよォォォォォ!!!」

「っせーな、断ってやりゃいいんだろぉ?!あァ?!」

「違うからっ!!つか、警察相手ですからねっ!!」

「あ。そうだった。オイ、神楽。お前犯罪だってよ。」

「何言ってるアルか?!女の子にセクハラもクソもないネっ!!」

「い、いや、あるから。あるから離れてくんないかな、御嬢ちゃん…。」

背中から回る細い手首を掴んで胸から剥がす。

「つーか男女以前にいきなりボディータッチは失礼だろーが。」

「で、結局の所、兄ちゃんは男アルか?おかまアルか?」

「話聞けよ。てかおかまって何だ。何で選択肢が両方男なんだよ。」

「だって男の癖に胸があったヨ。最近新宿二丁目で流行りの豊胸手術アルなっ?!」

だから何で男前提?!!土方さんっ!!オレはそんなに男らしい顔ですかっ?!!」

チャイナの子の猛烈な勘違いにあたしは自信のアイデンティティーを疑い、土方さんに顔を向けた。

「………黒刃に似てる。」

「ああそうですかっ!!結局男らしいって事ですかっ!!てか、気ぃ遣って遠回しに言うなァァァァァァァァァ!!!逆に傷付くっ!!!」

んだよ、どいつもこいつもよォォォォォ!!!あたしはいつからこんな弄られキャラになったんだよチクショォォォォォ!!!

「まぁまぁ、落ち着きなって。で、鷹居君だっけ?実際のとこどうなのよ?」

パー子さん、否、坂田さんがあたしを宥めて問う。

「女の子なんだろ?」

ニヤリと笑ったその確信めいた顔に驚いた。

「…………何時から知ってましたか……?」

「ん?初めて会った時から。」

「銀ちゃん、それクサいネ。」

「うっせ!!黙れ神楽っ!!!」

「………万事屋、何を根拠にンな事言ってやがる。」

チャイナの子の頭を叩く坂田さんを土方さんが睨む。

「テキトーな事抜かしてンじゃねぇぞ。」

しかし、坂田さんは怯みもせず、へにゃりと笑った。

「根拠?ああ、こないだ沖田君に聞いた。」

「ヤロォォォォォォォォォォォォォォォ!!!」

「ああ、土方さんっ!!落ち着いて下さいって!!もう良いですって!!白状しますからっ!!」

「!」

抜刀寸前の土方さんを宥めて私は息を吸う。

「そこの新ぱ…ダメガネが言ったよーに、あたしの本名は紅羽って言うんです。」

「え、鷹居さん、何で今ダメガネって言い直したの?!」

「ちょっと訳アリで男装して、真選組に置かせてもらってるんですよ。」

「ちょ、鷹居さんっ!!無視?!無視ですかっ?!」

「っせーな、黙ってろダメ。今、坂田さんと話てんだろーが。」

只のダメは酷くないっ?!!!

「うるせーっての。ミンチにしてハンバーグにすんぞ。」

人が喋ってんのに、ごちゃごちゃ口出すダメガネに眼飛ばしてあたしは言った。

「ふ〜ん、紅羽ちゃんか。」

「鷹居、いいのか?コイツに話すと碌な事ねぇぞ?」

「暴露した後に言われてもアレなんスけど……」

とてつもなく不機嫌に言う土方さんに私は苦笑する。

「いいんです。どうせダメガネには顔割れてるし、皆さん妙ちゃんの知り合いみたいだし。悪い人はいませんて。」

「………はぁ、お前、何だ彼だ言って何気に世間知らずだな…。」

「?」


頭を抱える土方さんに、あたしは疑問符を浮かべた。

「そーだよ、紅羽ちゃ〜ん。」

「坂田さん?」

顔を上げれば坂田さんが不敵に微笑んでいる。

「ま、確かに銀さんは良い人だけどね。」

「自分で言うな、クソ天パ。」

「んだとコラ。やんのか?あ?ニコ中マヨラーがっ!!」

「おーし、分かった。表出ろォォォォォォォォ!!!!テメーとは何時か決着つけてやろーと思ったが、今すぐ息の根止めてやらァァァァァァァ!!!!!」

「チンピラ警察がナマ言ってんじゃねーってのォォォォォォォ!!!紅羽ちゃんが女だって週刊誌に暴露してスキャンダル起こされたくねーなら金出せ、コラァァァァァァァァァ!!!」

お前、全っ然いい人じゃねーよ!!!鷹居、分かったかっ?!!コイツはこーゆー奴なんだぞっ?!!」

「うえっ?!!」

いきなり話を振られてあたしは変な声を上げてしまった。つか、巻き込まないでくんないッスか土方さァァァァァん!!!

「別に紅羽ちゃんに払えって言ってる訳じゃないからね!!!そこんとこちゃんと教えとかなかったテメーが払うんだよっ!!!」

「ざけんな!!俺関係ねーだろーがァァァァァ!!!」

「ない訳あるかァァァァァ!!女の子とひとつ屋根の下で生活しやがってよォォォォォ!!!福山雅○気取りですか?!!テメーはァァァァァ!!!」

「ネタが古ぃーよ!!!何時の話だよ、“ひとつ屋根の下”ってよォォォォォ!!つーかアレ、ホームドラマだろーがァァァァァ!!!」

「羨ましいんだボケェェェェェェェ!!うちのチャイナと交換しませんかっ?!!」

するかァァァァァ!!!

オイオイ、なんか訳分かんないんですけど。なんの口論してるかが分かんないんですけど。

ここはやはり、地味だけど、重要なツッコミ・オブ・ツッコミに何とかしてもらう他ないな。うん。

あたしはそう思い、ダメガネに目を向けた。

「ちょ、ダメガネ。アレなんとかして。」

「あ、姉上、お茶淹れましょうか。」

「ええ。お願い。」

ツッコミ放棄ィィィィィィィィ!!?

つか、無視決め込んでんじゃねーよ!!ダメガネの分際でっ!!!!

「おい、ダメガネ」

「アネゴー。テレビつけていいアルかー?THE EDOが始まっちゃうネ。」

「え?ちょ、」

「いいわよ、神楽ちゃん。リモコンそこだから。」

「はいヨ〜。」

チャイナ娘に話を遮られ、狼狽えていれば、あれよあれよと言う間にお茶が出てきて、テレビがついて、閑なお茶の間風景が出来上がる。

あの、後ろの2人はいいんですか?無視の方向なんですか?こんなん日常茶飯事なんですか?何で何事もないようにお茶啜ってるんですかァァァァァァァァァ?!!

「テメーが払えねーなら紅羽ちゃん貰ってくから。うちで働いてもらうから。」

「馬鹿かテメー。公務員はバイトできねーんだよ。ンな事も知らねーのか?馬鹿だろ、馬鹿。」

「馬鹿って言う奴が馬鹿なんですー、馬鹿。」

「オメーも馬鹿っつってんじゃねーか、馬鹿。」「あ、また、馬鹿っつった。オメーが馬鹿だ、バーカ。」

「だからテメーも言ってンだよ!!馬鹿だろ?お前ホンモノの馬鹿だろ?」

「馬鹿馬鹿言ってんじゃねーよ、馬鹿。」

「お前が馬鹿。」

「いや、お前が馬鹿。」

「いやいや、お前が真の馬鹿。」

「違うから。お前だから。」

え、何この不毛な馬鹿合戦?
小学生か?アンタらは小学生なのかっ?!!!
つーかもう、見ててイタイよ。

「ちょ、もう両方馬鹿なんですから、止めて下さいよ!!」

「ほら、紅羽ちゃんも言ってる。お前が馬鹿だよ。お前が。」

「え、ちょ、坂田さんっ?!」

「鷹居、テメェ上司に何て口利いてンだ?」

「や、土方さんっ!!両方馬鹿って言いましたからっ!!土方さんだけじゃないですからっ!!」

「だとよ。裏切られてんぞ。」

「違いますー。紅羽ちゃんは常に俺の味方ですー。」

「や、違うから。パー子さんの味方だけども坂田さんの味方じゃないですから。」

「えっ?!!何それ!!酷っ!!」

「はっ!!フラれてやんの、バーカ。」

「だから馬鹿って言う方が馬鹿なんだってば、馬鹿。


「いや、だからお前だから。」

「いやいや、お前だから。」

うわ、また始まったよ。………どうしよう、イライラしてきた。

「お前が馬鹿だよ。お前」

「違うから、お前だから。」

イライラして…

「その台詞、そのままバットで打ち返してやるよ。」

「その台詞を更にバットで打ち返すから。」

イライ………

「その台詞をまた更にバットで打ち返すから。」

「それをまたバットで打ち返すから。」

イ…………

「いやいや、それを」

「いい加減にしろォォォォォォォォォォッッッ!!!」


ガッ!!

ゴシャッ!!!!

「ぶっ!!?」

「ぐほっ!!?」


「あ。」

気付いた時には、右手に土方さんの頭を、左手に坂田さんの頭を掴んで、両手を畳に叩きつけていた。

「やべっ…!」

「っ……鷹居…テメェ……」

「あだだだ……幾ら何でも酷くない?」

「すすすすすんませんんんっ!!ああああっ!!土方さんっ!!抜刀勘弁!!切腹勘弁んんんんん!!!」

起き上がった土方さんがわなわなしながら腰の柄に手を添えてるもんだから、慌ててその手ごと、抜刀を阻止する。

「はっなせ!!鷹居!!抜けねぇだろーがっ!!!」

「抜かなくていいから!!常識の範囲で何でもしますし、命とお金以外なら何でもあげますから!!」

「えらい制限多いな、オイ!!!」

「あたしにとって給料カット=兄者による公開処刑ですから。」

必死に土方さんに抜刀させまいと奮闘してると、不意に肩を叩かれる。

「?」

「ちょっと、ちょっと〜、紅羽ちゃん?俺の事忘れてない?銀さんも怒ってんだけど。マスコミに紅羽ちゃん、女の子だって言っちゃいそうなんだけど。」

「坂田さ〜ん。ンな事したって、スキャンダルにもサンダルにもなりませんよ?」

「いやいや、あんだけ人気があんだから、スキャンダルになるよ。」

「なる訳ないじゃないですか〜。高々、一隊士如きで〜。」

「銀ちゃーん、」

愛想笑いでそう返すと坂田さんの返答より先に、チャイナ娘が声を上げた。

「んだよ、神楽。今取り込んでんだよ。」

「銀ちゃーん、テレビにその兄ちゃんが出てるネ。テロップに紅刃って書いてあるヨ。」

「「「「「「え?」」」」」」

一同、その言葉に画面に目を写すと……

<<現場の花野さん、花野アナ〜!>>

<<はい、こちら現場の花野です。先程まで警察庁長官、松平氏がインタビューを行っていた場所ですが、秘書に連れ出された模様です。では、もう一度、問題の会見を見てみましょう。>>

真選組人気の新隊士、鷹居紅刃。
衝撃!!女性疑惑!!!



殴り書きの様な字体が、ショッキングな効果音と伴に、画面にデカデカと現れた。


To be continued……

[*] | [#]
戻る

ballad


+以下広告+