act.22
<<松平公!!この度の鷹居さんの活躍どのように評価されますかっ?!>>
<<あン?いい子だよ〜。ホントにもう。強いし綺麗だし。オジサンの養女にしたい。>>
<!松平公っ!!養女とはどういう事ですかっ?!鷹居さんは男性ではないんですかっ?!>>
<<え?アレ?オジサン、今なんつった?>>
<<養女にしたい、と仰いましたが……>>
<<あー………、いや、あの、それ、えー>>
<<松平様はこれから会議が御座いますので退出いたしますっ!!>>
<<……みたいだからァ。そゆ事でェ。>>
<<公っ!!松平公っ!!>>
<<どういう事ですか?!!>>
<<──この様に強制的とも見れるインタビューの中断から――、
ブツッ!!
「あっ!!何するネっ?!!」
「なっ…何コレェェェェ!!?」
act.22
オカマが出来上がるよ。
咄嗟にリモコンでテレビを消すが、頭が情報に追い付かない。
隣でチャイナ娘がリモコンに手を伸ばすのを坂田さんが黙って止めた。
「鷹居、」
「ひ、土方さ、ん……な、何なんスか?今の……!!?」
放心していと、土方さんがあたしに声を掛ける。
「あのオッサン、口滑らせやがった…」
「じ、じゃあ……」
「スキャンダル、だな。」
深刻そうな面持ちで開かれた唇が紡いだ言葉にあたしは目の前が真っ白になった。
「ス、スキャンダル?!!……そんなっ、高々平隊士がですよっ?!」
「人気がありゃ、何だってスキャンダル要因にされんだよ。」
苦い顔のまま土方さんは続ける。
「結構前だが、アレ。話家が鬘疑惑で話題になったじゃねーか。」
「ちょ、○小路と一緒にしないで下さいよっ!!あたし髪の毛ありますよっ!!」
「毛じゃねぇよっ!!オメーが女だってバレたのが問題なんだっつーのっ!!」
大袈裟に溜め息を付き土方さんは頭を抱える。
「これじゃ犬構ってる暇ねーぞ。」
その手を動かして頭を掻くと、土方さんは坂田さんトコの定春と戯れる狛子を指差した。
「……いや、それとこれとは関係ないですよ。」
項垂れる土方さんにあたしは言葉を返す。
「はぁ?」
すると訝しげに顔をしかめて顔をあげた。
「だってスキャンダルはあたしのせいで狛子には関係ないですもん。巻き込む訳にはいかねぇっすよ。」
狛子を呼び、抱き上げてあたしは言う。頭を撫でれば気持ち良さそうに目を細めた。
………か、可愛いっ!!ホントはあたしが飼いたいのに……っ!!!!
「だからあたしは行きますよ。」
言って目線を前に戻せば銜え煙草が半分ずり落ちた土方さん。
え?あれ?何か変な事言った?
「ひ、土方さん…?」
意識を確認しようと手を伸ばす。
がしっ!!
が、その手をチャイナ娘に掴まれた。
「え?」
「その通りアルっ!!人間がやった事に動物は関係ないネっ!!」
目ぇキラッキラさせてチャイナ娘は言う。
「お前もどうせチンピラ警察だと思ってたけどお前とは分かり合えそうアルっ!!」
「……は、はぁ…、」
何故だか共感を得たらしいチャイナ娘に腕をブンブン振られた。
てか力強っ!!!腕もげるぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!
「神楽ちゃんその辺にしなよ。鷹居さんの腕、もげちゃうよ…。」
まさにその通りにダメガネが止めにきた。
あ、助かった…
「そーだ。なぁ、ダメガネ。お前狛子の飼い主知ってるみてぇだったけど?」
取り敢えず腕ブンブンは止まったもののチャイナ娘に手を握られたままあたしは問う。
「知り合いなら教えて欲しいんだけども。」
「あ、いえ。知り合いと言うか前に依頼を受けた事があるんです。」
「依頼?……あぁ、万事屋の。」
「はい。ねぇ、銀さん。」
「ん?あぁ、アレか。アバズレ巫女か。」
「あ、アバズレぇっ?!!」
アバズレなのかっ?!狛子の飼い主は巫女なのにアバズレなのかっ?!!
声を上げると、妙ちゃんが合点が言ったように微笑んでいた。
「あら。じゃあ阿音ちゃんのトコの子なのね。」
何ィィィィィィィィっ!!!アバスレだけで個人が特定できんのかァァァァァァァァァァっ?!!!
ヤバいっ!!会うの怖くなってきたんですけどっ!!!!
てか妙ちゃん、ものっそいい笑顔なんですけどっ!!!!
「へ、へぇ〜…。じゃあその人ん家行くから案内してもらってもいいかな?」
誰と言うわけでもなく、万事屋サイドに問うと、放心状態だった土方さんが僅かに動いた。
「鷹居、まさかそのまんま行く気じゃねぇだろうな…?」
「へ?いえ、そのつもりですけど……駄目ですか?」
あたしは自分の格好を見て問いを返す。
確かに頭はボサボサだけど、一応隊服着てるし、失礼にはならないと思うんだけども……
「駄目っつーか、それで行くとメディアに捕まるぞ。オメーでけーし目立つから。」
「あ。」
そうだった。一応女疑惑出てんだよね。いや、女だけども…。
「えー、じゃーどーしよー……」
「……そうだわっ!!ねぇ、紅羽ちゃん。」
唸ってると、何か思い付いたのか、妙ちゃんの高い声があたしを呼んだ。
「ん?何?妙ちゃん?」
「紅羽ちゃんが真選組って分からなければいいんでしょ?だったらいい案があるわっ!!」
「へ?な、何?」
「いいからいいから。ちょっといらっしゃいな。あ、神楽ちゃんも。一緒に選んで頂戴。」
「了解アル、アネゴーっ!!」
「え?うあっ?!ちょっ…!!」
何が何だか分かんないまま、あたしはチャイナ娘に手を引かれ妙ちゃんの後に付いて行く事になった。
えー……大分ヤな予感がするんだけどぉー…………
*****
紅羽が連れ去られて暫くの後、徐に新八が口を開いた。
「…つかぬ事を御聞きしますが、土方さん。」
「あ?」
「土方さんは鷹居さんが女性だって事、知ってたんですか?」
「…まぁ、な。」
「えー、知ってて男装させてんの?」
一息置いてから答える土方に銀時は訝しげに眉を顰め、言う。
「うわ、土方くん趣味悪っ!!」
「俺がさせてんじゃねぇっ!!ありゃアイツの兄貴が首謀だ。」
土方は大きな溜め息を付いた。
「あれ?鷹居さんに御兄さんっていたんですか?」
ちょっと考えてから新八が首を傾げる。
「初耳ですね。」
「オメーがあんまりにもダメガネだから教えて貰えなかったんじゃねーか?きっとその場に居たのが俺なら教えて貰えてたね。」
「酷ォっ!!!銀さんそれ酷いですからっ!!!」
「どっからその自信がくんだよ。だが鷹居に兄貴がいんのは有名らしいぜ。鬼兵隊に拐かされたのもそれが原因らしいからな。」
「ふーん。…で御兄ちゃんの名前は?」
少し間をとって銀時が言った。
「名前?鷹居黒刃だ。」
「……鷹居……黒刃……か……。」
「銀さん?どうかしたんですか?」
「いや、なーんか聞ーた事あるなーって。」
「そりゃそうだろ。奴ァ警察庁長官秘書やってんだ。」
肩を竦める銀時に、半ば呆れたような顔で土方は言った。
「あっ!!そういえば似てますよねっ!!」
「うーん、そりゃそうだけど……なぁ、そいつって、」
「ぅぎゃぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!む、無理ィィィィィィィィっ!!!ふーかぁーのぉうぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!!!」
「………やっぱいいや。」
銀時の言葉は奥から響いてきた紅羽の悲鳴(奇声?)によって遮られた。
──さてはて残された男性陣の会話なんて予想すらしてない紅羽達と言えば……
*****
「いーやーだァァァァァ!!!着れないってば!!」
「あら良いじゃない。似合うわよ、きっとっ!!」
「着物が嫌なら私の服貸すネっ!!」
「謹んで断るっ!!!」
奥に連れてかれたあたしは全力で否定した。
と言うのも、あたしが真選組の鷹居“紅刃”である事が分かんないようにって妙ちゃんが考えた変装の為。
………変装ってか女物着る訳だから、性別上正しい格好になるだけなんだけど、慣れてないっつーかなんつーか……。
アレだ。例のトラウマが発動する訳だ。(詳しくはact.16参照で。アレだよ、ゴスロリ。)
「別に隊服脱いでフツーの私服でいいじゃーん。」
「駄目よっ!!土方さんも言ってたじゃないっ!!紅羽ちゃん目立つのよっ!!」
「そうアルっ!!紅刃はデカイから目立つネっ!!」
唇を尖らせて不平を垂れれば畳み掛けるように言われる。
つーかチャイナ娘、この期に及んで何で紅刃って呼ぶんだ?
「いや、御嬢ちゃん、別に本名で呼んでいいから。」
「紅刃じゃないアルか?」
「それ偽名…。あたしこれでも女だから。紅羽っての。」
「マジでかっ?!女アルかっ?!!」
「今更っ?!って、そっちっ?!!」
あんだけ妙ちゃんが言ってたのにっ!!つーか女だって事も知らんかったんかいィィィィィィィィっ!!
「まぁまぁ紅羽ちゃん。そんなに怒んないで。さ、これ着てみましょっ。」
あたしを宥めて妙ちゃんは一着の着物を広げた。
淡桃色に花弁が散る非常に可愛らしい物だけども………
「いや、無理でしょ。着れないって。」
「大丈夫よ。ちょっと丈長めに作ってあるから。」
「や、そうじゃなくて無理だよ。あたしが着たらオカマが出来上がるよ。」
「いいから、いいから。さ、神楽ちゃん。紅羽ちゃんを脱がすわよ。」
「え゙…?」
満面の笑みを浮かべる妙ちゃんに頬が引き釣ったのが分かった。
「了解したアル、アネゴーっ!!うぉらぁぁぁぁぁぁっ!!!脱がんかいボケェェェェェェェェェェっ!!」
「え、ちょ……ぎゃぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
To be continued……