act.2
振り向いた其処には、垂れ目で三白眼の柔っぽい青年。
全身黒尽めで腰に……
何だアレ?
ラケット?
act.2
オレで良ければ、喜んで!!
「そうです!!お兄さん、なかなか良い体格してますね。何かスポーツしてますか?」
ラケット青年は、あたしが振り向いたのを見て、人懐こい笑顔を浮かべて近寄ってきた。
何だ?怪しいスカウトか?
て言うか、完全に男だと思ってやがる。しかも女だって言いタイミング逃したぞ。
慣れてるから良いけどな。
「まぁ…。スポーツというか、剣術を習得してますが…。」
「えっ?!本当ですか?!…やった!!これで副長に殴られなくて済む!!」
あたしが答えるとラケット青年は拳を握って言った。
フクチョーって誰だ。
「で、オレに何か?」
「あ!!そうだった!!」
涙目になりながら喜ぶラケット青年がなかなか話を進めないので 質問すると、思い出したように懐から1枚の紙を取り出してあたしに見せた。
その紙には きったない字でこう記してある。
─────────────
君の正義を江戸の町の為に!!
真選組新隊士募集!!
応募資格
・18歳以上
・腕に覚えのある者
・元気がある者
さあ!!今すぐ真選組屯所まで!!
─────────────
……国家公務員をこんな風に募集していいのだろうか…。
しかも何だこの応募資格。
元気のある者、って。
項目が少ない以前にラーメン屋のバイト募集かっての。
「…諸事情で新隊士を募集をしてるんですけど、如何ですか?」
苦笑いを浮かべながら紙を見るあたしにラケット青年はおずおずと訊ねてきた。
「如何ですかって……
真選組?!!」
好機だ!!
刀振り回せる合法の職業ってこれじゃねぇか!!
真選組だったらちょくちょく幕府本部に行く必要ねぇし、暴れ放題だし、まさにあたしが探してた仕事じゃん!!この機会、逃してなるものかっ!!
「…あの、どうかされましたか…?」
あたしがマイワールドに浸っていると不審に思ったラケット君が声を掛けてきた。
「へ?……あぁ、失礼。少し驚いたもので。」
「そ、そうですか。ならいいんですけど……。その件、如何ですか?」
何だかセールスマンみたいだな…
ともあれ断る理由はない。寧ろ大歓迎だ。
あたしは二つ返事でラケット君に答えた。
「オレで良ければ、喜んで!!是非、仲間にして下さい!!」
「ほ、本当ですかっ!?」
「はい!」
「あ、有り難う御座いますっ!!有り難う御座いますっ!!」
ラケット君はあたしの手を取り大袈裟に握手する。
涙目になってるよ。
そんなにフクチョーに殴られたくないのか……
アレ?『フクチョー』ってアレか?もしや真選組副長か?
"鬼の副長"の異名を持つ……
そりゃ、殴られたくないよなぁ……
あたしは、必死で握手するラケット君が可哀想になって、空いている手で、彼の肩を軽く叩いた。
「これから面接とかあるでしょうし、まだ合格した訳じゃないのに、大袈裟ですよ。」
ホントは、君、頑張ってるんだね……。と言いたかった。
「何を仰るんですか!!
貴方が了承した時点で採用ですよ!!」
「あ!そうなんで……
え゙?」
「俺は山崎退です!!宜しく!!」
「は、はぁ…、宜しくお願いします……」
それでいいのか?!!真選組ィィィィィィィ!!!
To be continued……