extra.5
「暇ですね〜…珍しく。」
「そーだな。」
「カフェオレでも飲みますか。」
「言っとくが、んな洒落たモン屯所にゃねぇぞ。」
「…ちっ。シケてんなぁ……」
退屈、留守番中につき
常々爆破音が絶えない真選組屯所が今日に限ってしんと静まり返っていた。
と、言うのも、今日は駅や警察署に付き物の【1日●長】の日であるからして、決して何時ぞやみたいに社員旅行で出払ってるって訳ではありません。
武装警察真選組も例に漏れず、1日局長に絶賛急上昇中!留まる事を知らないスーパー☆アイドル寺門通ちゃん招いて、現在隊士総出で市中見廻りを行っている最中学高校荒れた奴は意外にピュア。
それなのニーハイソックス!
市中見廻りという名のパレードに参加できず、何かあった時の為にとあたしは土方さんと屯所で留守番させられていまスレンダー。
何でも、以前、同じ様にお通ちゃんを呼んで1日局長を頼んだ時、全員総出してたら上手い事テロリストに利用された事があったらしインターネット。
だからって新入間もないあたしに留守番させるとかどんな嫌がらせだヨッ●ーストーリー。山崎さん辺りで良いじゃん留守番とカスタムロケットファイナルボンバー。
適任じゃんドゥーヤ、地味だシガレット。
「あーあ、何でそんな素敵イベントであたしらは留守番させられなきゃならんのです冠婚葬祭。」
「おい、止めろ。その頭悪い口調。」
「だって今日1日はお通語を使わないと切腹って1日局長が言ってたじゃないです刈屋崎先生って最近見ないね。」
「別に本人いねぇんだし気にしてんじゃねーよ。それにイライラすんだよそれ。」
「ちぇー。」
一応今日1日の局中法度だからって守ってたのに、と思いつつ、あたしは唇を尖らせた。
結構頭使うのにな、お通語。
そこで会話が途切れると、話題も無い訳で、屯所内は再び静まる。
土方さんを狙う沖田さんが居ないから殺害計画のとばっちりを受けずに済むのは良いんだけど、こう言う日に限って執務は全部終わってるし、通報とかも無いしやる事が無い。
「暇だぁぁぁっ!暇だ暇だぁぁぁあっ!!」
余りに退屈過ぎてやる事が無さ過ぎて、あたしは畳の上を転がった。
「おいおい、止めろ。餓鬼じゃあるめぇし。」
ゴロゴロするあたしと逆に何時もと変わらずクールを気取って刀の手入れをしている土方さんが顔を歪める。
「それすんなら別のとこでやってろ。廊下とか。掃除の手間が省けるし。」
「人間モップを掛けろってか。」
至って冷静な土方さんの発言に、仰向けになった儘だが、今度はあたしが顔を歪めた。
何て事言うんだこの人。仮にも年頃の女の子なんだぞ、あたしは!
………まぁ、口外する自信は無いけど。
「………つーか、鷹居。」
相変わらず仰向けの状態で御機嫌斜めな気分でいれば、呆れた様なと言うか、怪訝そうと言うか、兎に角、眉間に皺を寄せた土方さんが刀の手入れを止めて口を開いた。
「何ですか?」
「何でお前俺の部屋にいんだよ。」
「暇だから。」
「暇だからって……あのなぁ、」
聞かれた問いにバッサリ即答すれば、溜め息を吐いてがっくり肩を落とす土方さん。
そんな反応されたって事実なんだから仕方ないじゃないか。
つーか何でそんなにがっくりされにゃならんのだ。
この人に限って変な妄想していた訳ではないだろう、何処ぞの天然パーマさんと違って。
「暇だからは理由になりませんか?」
不思議に思って首を傾げると、頭を片手で抱えた土方さんはやれやれと言った風に首を振った。
「ならねぇ事はねぇと思うが、寝っ転がるだけなら自分の部屋で良いだろ。」
「えー。御互い暇同士なんスから、分かち合いましょうよ。」
「暇分け合ったとこで何にもなんねぇだろ。それに俺は刀の手入れしてんだから邪魔すんな。」
「邪魔なんかしてないじゃないスか。ゴロゴロしてるだけで。」
「埃が立つ。十分邪魔だ。」
「えー…」
盛大な溜め息と共に刀の手入れを再開した土方さんにあたしは不満を示す。
勿論、移動する気はないので寝っ転がった儘だが、仰向けで会話すんの疲れたんで俯せにチェンジはしたが。
「じゃあゴロゴロしません。」
「そうか。だが、部屋に戻れ。」
「昼寝します。」
「だったら部屋に戻れ。」
「昼寝しますから膝貸してください。」
「あ゙ぁっ!!?」
間髪入れずに大声を上げた土方さんに驚き肩が竦んだ。
ボケたつもりも無いのに過剰な反応にあたしは目を屡叩く。
「な、な…何スか……?」
「何スかじゃねーよ!!!お前何考えてんの!!?」
「膝枕ですけど…。」
「阿保かっ!!!!」
「でっ!?」
力の限りとは言わないが、それに近しい声を荒げる土方さんの拳が頭に振り下ろされた。
「いってぇぇぇっ!!!何で殴るんスかぁっ!!!」
「殴りたくもならァ!!言うに事欠いて膝枕ってどう言う了見だテメェ!!」
「いーじゃないっスか減るもんじゃないし!!膝枕は男だけのモンじゃ無いんですよ!!」
「んな事ぁ言ってねぇだろっ!?大体何で膝枕だ!!!」
「好きだからっ!!!」
「言い切りやがったっ!!?」
踏ん反り返れば、土方さんに盛大に驚かれる。
「そんなに驚きますか…?」
「普通驚くわっ!つーか膝枕好きってお前…。」
首を傾げると、土方さんは呆れを通り越して諦めモード突入仕出したではないか。
腹立つな。
「良いじゃないですかーっ!」
「悪ィとは言わねぇが……。」
苦笑いを消さない土方さんが何か、非常に気に食わなくて、あたしは身体を起こし、胡座をかいて、むくれてみた。
「じゃあ良いです。昼寝やめて武器の手入れします。」
「お。珍しくしつこくねぇな。」
「でも此処でやりますから。」
「……部屋戻れっての…」
「いーやーでーすぅー。」
「餓鬼かお前は…。」
いーっ、と歯を剥き出して抗議すれば、深い溜め息を吐かれる。
餓鬼で悪いかコノヤローっ!!
人間は何時までも未完成な餓鬼なんだよ!大人になれない僕らなんだよ!
それはさておき、此処で武器の手入れしたいのには、暇を分かち合いたいのの他に、もう1つ理由があるんだった。
「てか土方さん、武器の手入れの仕方教えてください。」
「おまっ…!!……今までどうやってきたんだよ……。」
「何と無く。絶対音感的なノリで。道具も持ってませんよ!」
「威張るな!」
「あてっ!」
踏ん反り返ればぺしっと頭を叩かれる。
「いってぇ〜…」
「ったく……ほら、さっさと持って来い。」
「はぇ?」
頭を抑えていれば、ふっ、と吐息に似た溜め息が耳に入り、首を傾げる。
「…何を?」
「刀、手入れの仕方知りてぇんだろ?」
「良いんですか!?」
「実戦で足引っ張られんのは御免だからな。」
「やったー!有り難う御座いますっ!!」
困った様な顔に頭を下げて部屋に向かった。
退屈、留守番中につき
偶には良いかもしれない。
「暇もお金みたいに貯めとければ良いんですけどね。」
「おい、手元見てねぇと手ぇ斬るぞ。」
fin
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前身サイト25400打キリ番
依頼 色様
課題 土方 仄々甘
2009825
死ねば死に損生くれば生き得
御堂 篝 拝*