extra.10
執務中不意に手を伸ばすと定位置にいつものアレがない。
「……ん?オイ、鷹居。俺の煙草知らねぇか?」
「…土方さん、知ってますか?煙草って何か色々アレなんですよ。」
「アレって何だよ。てかお前知ってんだろ。俺の煙草知ってんだろ。」
「宇宙の彼方に葬り去りました。」
「どうやってっ?!!」
僕と私の喫煙禁止講習
「大体土方さんは煙草吸い過ぎです!!死にますよ、明日辺りっ!!」
顔を上げた鷹居が俺に言った。
「んな早く死ぬかよ。てか、ホント何処やったんだ?」
「地球に還しました。」
「埋蔵か、埋蔵したのか?」
「あ、でも分別はしました。埋めたのは乾燥した葉っぱだけですから。安心してください。」
「できるかァァァァァァァァ!!!てかそれ見つけても吸えねーじゃねーかっ!!どんな嫌がらせっ?!!」
爽やかに微笑み人差し指を立てる鷹居。
折るぞっ?!その指、折るぞォォォォォ!!!!
「吸わせる気ないですから。てか、これを期に禁煙宣言したらどうッスか?」
「これを期にって、その期はテメーが勝手に作ったんだろーが。」
「細かい事気にしちゃ駄目ッスよ。」
「細かくねーよ。」
くそ、何か何時にも増して一々イライラする。
俺は動かしていたペンを置き、溜め息をついて立ち上がった。
「何処行くんですか?」
「煙草買いに行くんだよ。」
「なっ!!土方さんっ!!今のオレの話聞いてましたっ?!」
「聞ーてたわ。だがな、煙草がねーと調子出ねんだよ。戻るまでにその山、片付けとけよ。」
ポケットに手を突っ込んで、鷹居の机に連なる書類の山を指す。
検印押しだけだ。すぐに終わるだろ。
「じゃ、頼んだぞ。」
振り向き様にそう告げて、副長室を出ようとした……が、
「っ!!させるかァァァァァァァァァァァァァァ!!!!」
「?!!」
がしっ
ぐんっ
びったん!!!
「いってェェェェェェェェェェェェェェェ!!!」
鷹居は座ったままの体勢で上半身だけ倒し、俺の足に手を掛けた。
当然そうなりゃ、前進しようとしていた身体はバランスを崩す訳で、ポケットに手を突っ込んでたら手も付けない訳で、漫画みてーにずっこける。
「……ってて…。何しやがんだ、テメっ!!!」
「喧しいっ!!こっちの台詞だ、このニコ中上司!!ちょっと其処に座れっ!!!」
「え、何、逆ギレっ?!!!!つーか、上司に向かってタメ口かっ?!!」
「良いですか、土方さん。煙草ってのはそもそも麻薬と一緒なんスよ?!ちっと前まで春雨が密売してた転生郷と一緒ですからね。」
「一緒じゃねーよ。煙草は合法ドラックだ。」
「認めたよ。麻薬だって認めたよ。」
「うるせーな。大体今に始まった事じゃねーだろーが。副長補佐が今更何ほざいてんだよ。」
「もう我慢なんないんです。間接喫煙、副流煙にオレの肺が歪む前に止めて貰いますから。」
そう言うと、鷹居は懐から偵察用のメモを出して何枚かはぐった。
「……何だそれ。」
「こないだ兄者の金づ…ゲフンゲフン、知り合いの女医さんから聞き込みした煙草メモです。」
「今、金蔓って言おうとしたな、お前。オメーの兄ちゃん、幕臣だよな?金蔓にされてんじゃなくて、金蔓いんのかよ。」
「気のせいです。気にしないでください。」
「それ認めてっからな。その発言はイエスだからな。」
「良いじゃないですか、そんな高々兄者なんか。」
「ひでーな、オイ。」
「えーと、煙草はですね、一吸いする毎に化学物質が…何種類体内に取り込まれるでしょう。」
「何、いきなりっ!!!クイズ形式っ?!!」
「いいから答えてくださいよ。」
さぁさぁ、と俺を促す鷹居。
つーかまんまと煙草買いに行けなくなった。
「……400ぐらいか?」
それでもちゃんと答える俺は律儀だと思う。
「あ、惜しい。正解は4000。」
「全然惜しくないな。桁数違うじゃねーか。」
「んじゃその中で人体に有害なのは何種類でしょー?」
「お前、俺の事無視して楽しいか?」
「いいから答えてくださいって。」
何か、コイツ最近、総悟に似てきたんじゃねーか?やめろよ。補佐にまで命狙われんのか、俺は。
「何種類だろうな。」
「真面目に答えてくださいよ。正解は200くらい。」
「正解は発表すんのか。200種類ぐれぇじゃどうってこたねーだろ。」
適当に返したが、鷹居は話を進めた。
どうやらこの煙草クイズ的なモンを終わらせるつもりは無いらしい。
「どうってことありますよ。その内発癌性物質は40種類くらい。土方さん、やっぱ明日死にますよ。」
「だからんな早く死ぬかってんだよ。まだ癌にもなってねーから。」
「じゃあ明日癌になりますよ。」
「お前、俺の事そんなに殺したいのか?」
「違います。…………多分」
「多分っ?!!!今ちっせぇ声で多分って言ったよな?!!オイ、何で目ぇ反らすんだよっ!!!こっち向け!!オイっ!!」
ふいっと顔を背けた鷹居に詰め寄るが、全く反応しない。
何だ?コイツもやっぱ俺を抹殺しようとしてんのか?
何で俺はこんなデンジャラスな奴等に囲まれて過ごさにゃならんのだっ?!!
そんな人生を呪ってると、鷹居が何事も無かったかの様に口を開く。
「ま、それはさておき、土方さん。煙草吸うのって環境破壊なんスよ。」
「おくなっ!!てか、いきなり話変わったなっ!!」
「変わってません。煙草の危険性ですから。」
「関係ねーだろ。喫煙と環境破壊は。」
「これがまたあるんですな〜。」
「なんだその口調。腹立つ。」
「煙草の煙にはダイオキシンが含まれてるんですよ。」
「マジでか。」
「マジでだ。その量は工場の……………とりあえず、めっちゃ倍。」
「めっちゃ倍って何だよ。お前ちゃんとメモってねーだろ。」
「仕方無いじゃないですが。女医さん、しつこく兄者のメアド聞くんですもん。」
「……お前、何のためにそれ聞きに行ったんだよ。」
「兄者命令。」
「…わかった。深くは聞かねぇ…、」
鷹居の兄はとっつぁんの秘書やってるが何か分かんねぇ野郎だ。
最近知ったのは、金が好きだと言う事。………大分どうでもいい…
「で、言いたい事はそんだけか?」
取り敢えずコイツの兄は関係ねーから、俺は逸れそうな話を戻した。
「何でそんな投げ槍なんですか。まだありますよ。残念でした、様ァ見ろ!!!」
「……今月、給料減らすぞ。」
「あ、すんません。それだけは勘弁してください。あとちょっとなんで。」
呟く様に言えば、直ぐ様鷹居は土下座した。
……ホント、簡単な奴だな。とは言え此れがコイツの兄の影響と思うと、ちょっと哀れにも思うが。
「じゃ、さっさとしろ。」
「あーい。」
そう言って、鷹居は再びページを捲る。
「あ、ここ重要ですよ。喫煙者の吐息には一酸化炭素が含まれてて、他人を一酸化炭素中毒にさせる危険性があるんですって。」
「何だそれ。」
「端的に言えば、煙草は自分だけじゃなくて他人まで壊すわけです。てな訳で止めましょう。」
「無理だな。じゃ、煙草買ってくる。」
「させるかァァァァァァァァァァァァァァ!!!!」
僕と私の喫煙禁止講習
「因みに1本で寿命が5分縮みます。」
「マジですかィ?土方さん、1日に23040本吸って下せェ。」
「どっから湧いてきたんだ、総悟ォォォォォォォ!!!」
fin
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前身サイト3333打キリ番
依頼 ユリカ様
課題 土方 ギャグ
20080413
御堂 篝 拝*