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2008年5月
ちなみに今年で御幾つですか?
RRRRR…………
ガチャ、
<<もしもし?此方警察庁ですが。>>
「あ、もしもし兄者?あたし、あたし。」
<<あたし?さては今流行りの振り込め詐欺ですかっ?!私はそんな事では騙されませんよっ!!私のお金を掠めようなど、1万年と2千年早いですよっ!!>>
「違うから…。あたしですよ。紅羽。」
<<あ、何だ、紅羽ですか。それならそうと早く言いなさい。>>
電話の向こうで兄者は安堵の息を漏らしている。
<<時に紅羽。今その名を名乗っているのでしたら、屯所ではないでしょうね?>>
「え?ああ。うん。今、自宅です。久し振りに帰ってみてんの。」
<<なら良いのですが。で、どうしたのですか?何か報告でも?>>
「何の報告だよ………」
<<勿論、土方さんとにゃ>>
「ねぇよ。何もねぇよ。」
<<……えー……。>>
えー、じゃねぇよっ。何時まで期待してんだっつーのっ!!!!
まぁ、不服そうな兄者の声は無視するとして、あたしは本題を持ちかけた。
「実は、明日、5月5日、土方さんの誕生日なんですよ。」
<<おやっ!!素敵なイベントではないですかっ!!>>
「…………。何考えてっか大体分かるけど敢えて無視するわ。で、何あげよっかなーって。何かいい案ないですか?」
<<ありますよ!!ベタな漫画的ですが、プレゼントはわた「兄者に聞いたあたしが馬鹿だったよ。」
ぶちっ!!
ツーッ、ツーッ、ツーッ……
アホみたいに嬉しそうな兄者の声をあたしは躊躇いなく遮断した。
*****
「こんにちはー!!坂田さーんっ!!」
ドドドドドドドドドっ!!
「?」
ん?何だこの音?
ドガっ!!
「しつけーんだよクソババァァァァァァ!!!」
「ぅおわぁああぁぁぁぁぁっ!!?」
ガッシャーンっ!!!
破壊音と共に居間と思われる扉を蹴破って出てきた坂田さんに飛び蹴りを食らった。
「ったたた………」
「ん?あ、何だ紅羽ちゃんじゃん。何やってんの?」
「何やってんの?じゃねェェェェェェ!!!何?何でいきなり飛び蹴りっ?!!どんな歓迎だよっ!!」
「あ、ごめんごめん。ババァが家賃ふんだくりに来たかと思った。」
頭を掻きながら、玄関で尻餅を付くあたしに坂田さんは手を差し伸べる。
「あ、すんませ……うわっ!!」
手を借りればいきなり引き寄せられて坂田さんの腕の中に閉じ込められた。
「…………何これ。」
「御詫びに銀さんが御奉仕してあげよーか?」
そんな事を言って、口角を上げる坂田さんの胸にあたしは拳をぶつける。
「ぐはっ!?」
「パー子さんなら喜んでお受けしますが、坂田さんならいりません。」
「えェェェェェェェェェっ?!!結局そうなる訳ェェェェェェっ!!!酷っ!!紅羽ちゃん酷ォォォォォっ!!!」
だって仕方ないじゃないか。パー子さんは好みだけど坂田さんは違うんだからさ。(だから酷いってば!!)
それはさておき、あたしは坂田さんに本題を言う。
「坂田さん、明日土方さんの誕生日なんですけど、何あげたらいいですかね?」
「え?何?そんなん聞くのに家来たの?」
「はい。」
「えー、知らねーよ、アイツの誕生日なんかさぁ。」
かったるそうぬ頭をぼりぼり掻く坂田さん。あー、、確か仲悪いんだっけ?思考回路そっくりの癖に。
「協力して下さいよー。パフェ奢りますから。」
だけどもあたしだってここで下がる訳にはいかないのだ。
坂田さんの甘党を逆手にとって駆け引きを持ち掛けた。
「えー………え?パフェ幾つ?」
「10杯までなら。」
「よっしゃ、乗った!!そーだなァ、多串くんならタバコかマヨでいいんじゃね?」
「つまんないです。何か別にないですか?」
「あんな奴の事そんなに知るかよ。」
「っち、使えねぇ……。あーい、有り難う御座いましたぁ。」
「アレ?紅羽ちゃん?今使えねぇって言った?ちょ、紅羽ちゃ、紅羽ちゃァァァんっ?!!」
坂田さんの悲鳴を尻目にあたしは万事屋を後にした。
……無駄足だったか。
*****
「んー…どーしよっかなぁ〜。」
当てもなくふらふらと市中を歩く。
……あと誰に聞こっかなぁ……。
ドンっ!!
「わ゙っ!?」
ぼーっとしてたから誰かにぶつかった。
うわっ!!恥ずかしっ!!!
「あら、ごめんなさぁい。」
「あ、いや、あたしこそ……あれ?」
ぶつけた鼻を擦りながら顔を上げると、見知った青髭。
「ま、ママっ?!」
「え?やだっ!!紅羽じゃなぁいっ!!」
振り返ったママことマドマーゼル西郷こと西郷特盛さんはあたしを見るなり巨大な手で頭を撫でた。
「久し振りねぇ〜。最近見ないから心配してたのよ。元気にしてた?」
「うんっ!!ごめん、忙しくって中々店に顔出せなくてさ。」
「いいのよ、元気ならそれで。」
青髭面に満面の笑みを浮かべてママは言う。
「所で何か浮かない顔してたけど、どうかしたの?」
「え?…あっ!!そうだっ!!」
土方さんのプレゼント、あたしより経験豊富、色んな意味で超豊富なママに聞けば良いんじゃんっ!!
男心も女心も併せ持つママならきっと良いアドバイスくれる筈っ!!
「ママっ!!実は相談があるんだけど……」
「あら、なぁに?」
「あのさ……」
*****
────5月5日当日
「土方さぁぁぁん、今日御誕生日ですよねっ?!」
「あ?……あぁ、そーいやそーだな。てか何で知ってんだ?」
「沖田さんに聞いたんです。で、オレからのプレゼントっ!!」
ドンっ!!
「こいつぁ……」
「何時も御世話になってますんで!!銘酒、“鬼嫁”と“だんでらいおん”ですっ!!御誕生日御目出度御座いまぁ〜すっ!!」
何となくノリで拍手すると、土方さんは訝しげにラベルに目をやった。
「オイオイ、これ高ぇんだろ?黒刃は何も言わなかったのか?」
「え?あ……。ああ、いや、き、気にしねぇで下さいよっ!!」
「……怪しいな。何か裏があるだろ?」
「ま、まさかぁ…」
「………ま、有り難く頂いてやるよ。」
土方さんは酒瓶を自分側に寄せて、そう言う。
あたしはその間を詰めて、土方さんに近づいた。
「な、何だよ……」
「今日誕生日迎えたんですよね?」
「あ、ああ……」
ちなみに今年で御幾つですか?
「……黙秘だな。」
「えー!!OLじゃあるまいしー。」
「じゃ、お前の想像に任せ……ん?オイ、鷹居。これ開封されてんじゃねぇか。」
「あ…」
「どっから貰ってきたんだ?まさか、テメーの行き付けじゃあ……」
「あ、あはっ?ば、バレちゃいました?ママんとこに土方さんの大ファンが居て、その娘(?)が口付けた瓶ですけど……」
「ンなもん飲めるかァァァァァァァァァァっ!!!」
Happy birthday for May fifth!!
END!!