Memo
相澤
TVで流行の音楽が流れる
なんとなくフリを真似して踊っていたら背後に人の気配
「っ…いつから見てた…」
「ツイスト踊ったフロア…ってとこからだな」
「結構前じゃん…」
顔を覆ってうずくまると、彼が頭をぽんぽん撫でた
可愛いなお前、と笑う声
今言われても素直に喜べないマイク
「ナー、もういい?」
「待って。あとリップだけ」
彼にメイクを施し始めて30分
予想外の出来に鏡を見せる
「見て!髭の生えた美女が出来た…!」
「Wow!マジだ!…あれマジだ、意外とイケてない?」
髭を隠してSNSに上げた彼の写真が翌朝のニュースを騒がせるのはまだ先の話相澤
「ゴメン…わざとじゃないんだ」
「待て。何で謝った」
蒸しタオルで拭い、彼の手を取り己の顎に触れさせる
「…なるほど」
髭を剃ってみたいと言ったはいいものの、手が滑って顎髭まで落としてしまったのだ
それにしても
「意外と童顔だね」
可愛いという言葉は何とか飲み込んだマイク
暗闇でナチョスにソースをつけるのは意外と難しく
指ごとディップしてしまった
お手拭きどこにやったっけ?トレイの上を探る
「どしたの?」
「ソースが…」
手首を捕まれ、彼の舌が指先を這ってソースを拭う
「Shh、な?」
思わず声が漏れた私に彼は悪戯っぽく笑って言った相澤
山盛りのポップコーンを買って二人で映画館。
人の消えた館内で、空になった容器を片手に彼が私の肩を優しく叩いた。
どうやら途中で寝たらしい。
もう一度見るか?と彼。
「同じの見てもつまらないでしょ」
「大丈夫だ、俺も寝てた」
彼の優しい嘘に、今日は甘えてしまおうかマイク
彼の膝の間で映画のラストシーンを眺める
溢れそうな涙を堪えていると、頭上から暖かい雫が一粒
なんだろう?
見上げようとしたらきつく抱きしめられてしまった
「…Don't look」
私は頭上に手を伸ばし、余った袖で彼の頬をそっと撫でる
彼にもたれ、私も涙を堪えるのをやめた相澤
「…終わった?」
「まだだな」
怖いシーンから目を伏せ、彼の部屋着を見つめて数秒
冷たい何かが私の首筋をつうっとなぞった
「ひゃあ?!」
目を上げるとグラスに残った氷を手に笑う彼
「終わったぞ」
溶けかけの氷を口に放り込みながら彼が言った
彼は時々、子供みたいだマイク
渋滞にはまって眠そうな横顔。車は暫く動きそうもない。
「運転かわるから寝たら?」
「Huh?どうやって」
ギアをPに入れ、サイドブレーキを引いて彼の座席を後ろに倒す。彼の肩口に手をついて跨がる。
「こうやって。…横にずれてどいて?」
「……眠気が飛んだんですケド…」相澤
隣に立って歯磨きをしながら、目に触れた彼の顎をなんとなく触ってみた。
「じょりぉりふぅね」
歯ブラシがあるせいでうまく喋れないことが可笑しくて笑うと、髪をぐしゃぐしゃと強めに撫でられて、見上げていられなくなる。
抗議しようと鏡を見たら、赤くなった彼が映っていた。マイク
落ち着いた内装のリビングに漂う良い香り
「ギャップにやられたのかなあ…」
「Huh?何の話?」
キッチンで明太子のパスタを作る彼は、髪を縛ったシンプルな装いでエプロンをつけている
「オフの貴方もカッコイイって話」
彼は振り返り、Thanks!といってはにかんだ
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