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勢いよくお店のドアを開けお店に入ってきた白石は、血だらけの仁王を連れて帰ってきた。

余りの光景に呼吸をするのを忘れてしまうほど、仁王はあの日の夜よりも傷だらけだった。


「千尋ちゃん、悪いねんけどタオル数枚持ってきてもらえるか?」

「あ…はい!」


事務所からタオルを取り白石へと渡す、タオルを白石は水で濡らし仁王の傷口へ押し塞ぐ。傷口が水に沁みたのか仁王は目を覚まし呻き声をあげる 。


「千尋ちゃん何度も悪いねんけど、後できちんと説明するから今はこの男助けるために、血をもらえへんか?」

「え、私の…で良いんですか?」

「千尋ちゃんのやないとダメやねん」


手を差し出すと白石は自らの牙に押しつけ瀬谷の指に傷を作る、血がぷっくりと滲み出てくると水が入ったグラスに数滴その血を入れる。


「ほら、飲むんや」


仁王の身体を支え、水を流し入れると不思議と仁王の傷口は先ほどよりも早く傷口が塞がり始めた。

徐々に顔色が良くなり、瀬谷と同じく白石に疑問の目を向けている。


「せやから、今説明するって言うてるやん。俺も当然吸血鬼や…千尋ちゃんとは昔小さい頃に会ってるんやで?」

「じゃあ本当に蔵くんなの?おばあちゃんの写真に映ってる人と今の白石さん…が変わってないのは…やっぱり」

「千尋ちゃん、本当は覚えてたん?」

「うん、いっつも見守ってる人だからっておばあちゃんが教えてくれて…でも似てる人かな?くらいだったんだけど。本当に蔵くんなんだ…」


すると仁王が店のドアを開けて出て行く。ドアが閉まる音で白石と瀬谷は気づき、白石の横を通り抜け瀬谷はドアに向かう。が、その腕を白石は掴み足を止めさせる。


「なあ…あんな男放っておけばええやん。俺がおるんやから」

「蔵くんに会えたのは本当に嬉しい、けど私は雅治じゃないと嫌なの…!ごめんなさい」


店のドアを開けて走って行く瀬谷の背中を悲しげに見つめる白石。


「フラれてもうたやん、」


路地裏に消えようと先行く仁王の腕を掴み、足を止めさせ振り返させる。今まで数日だか仁王と過ごしてきて彼の表情を見れば何を思っていたのか分かっていたつもりだったが、今の仁王は何を考え何を思っているのか分からない。


「店に戻りんしゃい?」

「いやっ、今のままの雅治を帰したくないし離したくない…!」


じゃあ、と口を開いた仁王に両手首を掴まれ建物に壁を押しつけられる。振りほどこうにも力が入らない、というより全く動かない。


「お前さんの血を俺に寄越すぜよ」


片手で両手首を押さえつけられ、空いた手でシャツを無造作に引っ張り、釦が地面に落ちるのが見えた、肩が外気に晒され肩を震わせる。仁王はそんな瀬谷の首筋を舌先で舐めては反応を楽しんでいる。


「まさは、る…」

「んー?なんじゃ、お口の方が寂しいのか?」

「ちが…!んっ、」


顎を上げられ唇を塞がれる、何度も重ねられるキスに思考が働かなくなる。

唇が離れると仁王が不敵な笑みを浮かべて、今度は軽めのキスを落とした。