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目を開けると椅子に座り私を見下ろし、寝ているのか目が綴じているのか分からない男性が居た。

今の内に逃げだそう!と思い四肢を動かすがその時初めて瀬谷は気づいた、自分の四肢が固定され身動き取れない状態にされている事を…。


「今の内に逃げ出そう。なんて考えは辞めて置いた方が良い」


目を綴じていると思われた男性は口を開き、瀬谷が頭の中で考えていた事に対して返答する。


「私をどうするつもりなの?ここはいったいどこ、さっさと帰して!」

「実験の材料になってもらうのと、ここは軍の俺の研究室だ。先ほども言ったがお前は我々が行う実験に必要みたいでな」


すると男は注射器を取り出し椅子から立ち上がりゆっくりと瀬谷に近づいてきた。


「いや、やめて!」

「大人しくしろ、殺しはしない」


首元を何かで濡らしたような布で軽く拭かれたかと思うと、首元に注射針が刺さり血を採られる。何か怪しげな薬品が注射されると思ったが、どうやら目的は私の血のようだ。

採血したかと思うと試験管や薬品が置かれたテーブルの方へと消え瀬谷へ見向きもせず実験を始めた。

その間部屋を見渡すと真っ白い壁に覆われた広い部屋に薬品棚がたくさん置いてあり、足元の近くには灰のような砂の固まりがありそれを見た瞬間寒気を覚えた。


「ああ…とても良い色だ…。サンプルを連れてきてくれ!」


薬品を扱っていた男が研究室の出入口に向かい、大声を出すと数分も経たない内に赤髪の男が両手両足を繋がれ自由を奪われた人を軽々と担ぎ、男の前に差し出した。


「ああ、丸井。君はなんて忠実な吸血鬼なんだ…世の中みんなこうであれば精市が喜ぶのに!……少々脱線したな、もう下がって良いぞ」


丸井と言う聞きなれた単語に瀬谷は思考を働かせる、仁王と柳生が話していた会話でも丸井という言葉が出てきていた事を瞬時に思い出し丸井を呼び止める。


「丸井さん…!ですよね?」

「あ……?」

「あ、あの…。仁王さんと柳生さんと桑原さんは無事だそうです、丸井さんは三人を助けるために、残ったと聞いて――っ!」


出入口付近まで歩いていた丸井は、目にも留まらぬ早さで走り瞬時に瀬谷へと近づき首元に小さなナイフを宛てがう。

その手は少し震えていて瞳も少しばかり揺れているように見えた。


「このままで良いんだ、逃げる術がもうないからな…教えてくれてありがとな」


耳元でふと小声で囁かれ、丸井は瀬谷から離れナイフをしまうと何も無かったかのように出入口へと消えていった。

まるで丸井さんはどこか自分の感情を押し殺して軍に従っているように私には見えた。


「さて、完成した。実験の再開といこうか」


再び注射器を片手にした男の注射器の中には怪しげな薬品が入っており、丸井が運んできた生きているか死んでいるかも分からない自由を奪われた人の腕に注射した。


「見ろ、女!お前のおかげで実験が成功したぞ」


倒れていた人は吸血鬼だとすぐ分かったその瞳は血のように赤く染まりそれは瀬谷がよく見てきたものだったからだ。吸血鬼は息を吹き返したのか近くに居た瀬谷に牙を剥き出しにし食ってかかろうとするが、繋がれた拘束具によりそれは間逃れた。

すると男は瀬谷と吸血鬼を二人残し部屋を出て行ってしまった。