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どれくらい時間が経っただろう。四肢を固定され吊るされた瀬谷の足元で、吸血鬼が今か今かと目を光らせて生き血を、血肉を狙っている緊迫状態がどれほど続いたであろう。

すると研究室の出入口が開き、顔を上げると先程居た研究員の人が帰ってくる。


「さて、君は精市の元で監視との事だ。大人しくして居てくれよ…?」


四肢をそれぞれ固定していた拘束具は外され、今度は両手を後ろで拘束され両足首を固定され研究員に軽々と瀬谷は肩に担がれた。

口に布を噛ませられ、視界も覆われ私は一体どうなってしまうのだろう。

研究員の足音だけが耳に響く、ノック音をしてから何処かの扉が開き冷たい床に瀬谷は降ろされ再び何処かの扉が閉まる音がする。

助けて、雅治――。


幸村は広い部屋で幾つものモニターを眺めていた、何故ならこの膨大な広さの地下施設に以前逃げ出したであろう吸血鬼がやって来たからである。


「柳の薬は準備が整い次第発送準備、真田には悪いけどネズミの排除頼むよ…今はとても厄介だ」

「分かった」


モニター越しに話す幸村の声は、地下施設を歩く真田へと届く。モニターに映る仁王を眺めては足元に倒れる人へと視線を移す。


「聞こえているんだろう、瀬谷さん?」


口と視界を覆われた布を外され、目に映る余りにも綺麗な人に瀬谷は息を飲む。

真っ白な軍服を身に纏い女性と見間違えるような美しさに私はこの人が本当に黒幕なのか疑ってしまう。


「本当に馬鹿だよねこの吸血鬼は。どうしてこんな女一人のために敵陣に乗り込んでくるんだろう」

「雅治は…仁王さんは吸血鬼とか人間とか関係なく良い人です!」

「黙れ!!」

「いっ!」


吸血鬼という単語を口にする瀬谷に、幸村は腰に備え付けていたコサック鞭で強く打ち、衝撃で瀬谷は倒れ頬と肩から血を流した。


「仁王さんは、私に…優しくしてくれました」


怒りで呼吸が乱れた幸村には瀬谷の声は届かず、血を流した姿を見るなり悪事を思いついたのか再び数発鞭を強く打ち身体に傷をつけた。


「やめ、て……っ」

「ははは、余りの痛さに意識を失ったようだね……。僕の目の前で吸血鬼が良い人なんて言う君が悪いんだよ」


モニターに視線を戻すと、どうやら真田が仁王の存在を捉えたのか走り出していた。


「幸村、酷い音が先程から聞こえているが大丈夫か」

「ああ、大丈夫。それより真田…その角の向こうからネズミがやってくるよ…排除は任せる」


モニターの何処かのボタンを押し会話を終えると、椅子に深々と座り幸村の口元は笑みを浮かべていた。


「そうか…仁王はこの女が大事なんだね?ふふふ、どうしてやろうかなあ」