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匂いが遠ざかったり近づいたり、とこの地下施設は相変わらず迷子になる。


「副将が居る時点で、近づいては来てるかも知れんのう」

「たわけ、お前はここで俺に殺ろされる運命だ」


真田は懐にある剣を抜くと、剣先を仁王に向け構えた。仁王は何を思ったか自らの手を噛み傷を作り床に血を落とした。

床に落とした血に触れると綺麗に全て浮き上がり形を変え血は真っ赤な剣になった。


「ほう、少しは頭を使うようだな!」

「その口聞けなくしてやるぜよ!」


―――
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遠くで何か金属音が聞こえ、その音で瀬谷は目を覚ました。先程まで自分に鞭を打っていた男性の姿はなくモニターに映る人の姿が見える。

上体をどうにか起こし、モニターを覗くとそこには黒い軍服を身に纏う男性と戦う仁王の姿があった。


「雅治!…やっぱり来てくれたんだ…?」


ふと思い出す。目と口を塞がれていた時ここに居た男性は、モニターで誰かと話して居た気がする。

此処にあるどこかのボタンを押せば、モニターの向こうに居る仁王に無事を伝えれるかもしれないと。

両足を塞がれた状態のため、立ち上がるのに時間を使ってしまったが男性が座っていたであるモニターに近い場所へと近づく事が出来た。

だが両手は背中の後ろで結ばれているため、ボタンを押して確認する事が出来ない。


「何をしているんだい?…画面の向こうで戦っている彼に声援でも送りたかったのかな?」

「そんなんじゃ…」


最悪な事に軍服の男は部屋に戻ってきてしまい、瀬谷を床に突き飛ばすと何処かのボタンを押し、再びコサック鞭を取り出す。


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仁王と真田は互角の戦いを続けていた。どちらかが少しでも隙をつくれば殺られる、そんな駆け引きの戦いを続け時間がかなり経っていた。

すると仁王の背後から黒い靄のような物が、真田を包み身動きを取れなくした。


「なんや、随分手こずってるみたいやな」

「白石?!」

「はよ、行けや。ここは俺にまかせればええねん」


背後から白石が現れ、再び真田をコウモリで包み込んだのだ。

仁王は白石と代わり真田を抜け走り出した。

真田は再びコウモリを払うと、仁王と入れ替わった白石を見るなり剣先を白石に向ける。


「貴様!よくも二度も人の邪魔をしたな…!叩き切ってやる!」

「俺と本気で殺ろうって言うてるん?自分それ、正気なん…?」


吸血鬼化により赤く変化した白石の目。頭上でヒラヒラと舞うコウモリを左手に乗せ、軽くキスを落とし綺麗な血色に染まった赤い瞳で真田を睨んだ。


「む…使い魔を扱うか」

「久しぶりやけど、大事な千尋ちゃんのためや…本気で戦わせてもらうわ」