06


買い物が終わりマンションに向かって帰る中、仁王から吸血鬼について色々教えてもらった。

血を呑まなくても数ヶ月生きてはいけるが、力・体力共に他の吸血鬼と比べると弱くなり軍に攻撃された時に殺されやすくなるらしい。

吸血鬼には物質物体を変化させる特殊な能力があり、仁王は自分の事を魔法使いみたいじゃろ?なんて言っていた。


「あとは俺が千尋の血を飲んでもお前さんは吸血鬼にはならんきに。1%にも満たない確率で、なるとは聞いたことがあるが妊娠させるより難しい話しぜよ」

「じ、じゃあ…!ニンニクとか平気?十字架とか聖水とか」

「ニンニクは好きな方じゃな、十字架も効かんし聖水はただ冷たいだけぜよ……あ、銀を触るには何もないんだが身体を銀で拘束されたり貫かれると力が入らなくなるしそれで傷つくられたら治りが遅くて銀は軍も多用してて困るぜよ」

「雅治は数百年生きてきて、その…結婚とか彼女?とか作ろうと思わなかったの??」


私は何て質問しているのだ。これじゃあ明らかに好意があると思われても仕方ない質問じゃないか…!


「んー、女の吸血鬼ってあんまりおらんし人間と添い遂げるっつーのも考えたが人間は余りにも死ぬのが早すぎるしなあ…ん?それとも千尋が吸血鬼になるまで俺が血を吸ってやろうか?」

「い、いい…!ちょっと荷物持ってて、ここ私の仕事先なの、今日シフト入ってたか忘れたから確認してくる」


仁王を建物の日陰に残し瀬谷はお店の中へと入る、真夏ではないが日陰にはそよそよと冷たい風が流れる。


「喫茶店?かのう、可愛らしい所で働いてるんじゃな…」

「……自分、店入らへんの?」

「ん?ああ…人を待ってるだけなんじゃ、勘違いさせてすまんのう。また日を改めて来るぜよ……あ」

「い゙っ!」

そこにシフト確認が終わった瀬谷がドアを開け、仁王と話していた人の背中に見事にドアが当たった。


「白石さ、ん…!?買い出し行ってたなんて知らなくて、本当にごめんなさい!ドアノブ背中に突き刺さりましたよね…大丈夫ですか?」

「ははっ、大丈夫やで…これくらい、うん何でもないわ……いたたっ」


白石蔵ノ介、同じくここのお店の店員の一人、切原とは別ではあるが彼も大学生である。朝番と昼番の時間に仕事が多く、自ら買い出し担当をしてくれる。

まさか仁王と話していると思ってなかった瀬谷は、白石に何度も頭を下げている。


「本当にごめんなさい…!」

「ええって、こんなん唾付けとけば治るっちゅうもんや。それにこんなイケメンな彼氏居るなんて聞いてへんで」

「あは、は。えっと…白石さん今度何か奢りますねっ…それじゃあ!」

「うおっ」


仁王の手を掴み走り出し、とりあえずその場から急いで離れる。
家のマンションの近くまで来てから、仁王と手を繋いだままな事を思い出し慌てて手を離した。


「ごめん!雅治に荷物持たせたままだった」

「良い運動になったから気にしなさんな。それに千尋の金で俺の物買って良かったんか?何かに使うために貯めておいたんじゃなか?」

「良いの、気にしないで…あ、雅治も今日の晩御飯の用意手伝ってね」

「まかせんしゃい、こう見えて料理も出来るんじゃよ?」


マンションへと入る微笑ましい光景を、遠くから見ている人物にそんな二人は気づかなかった。


「やっと見つけましたよ仁王君」