数日が流れある日の夜。瀬谷は仕事で出勤していた。
さらに店には先日の警察官といい仁王も居る。警察官は良い具合に酔いが回っていて、大声で楽しそうに話している。
「昼間は喫茶店で夜はバーなんか、なかなか変わったお店じゃな」
「ふふ、でしょ?雅治も何か飲む?」
「お前さんのオススメで」
青をイメージして作ったカクテルを渡すと仁王は笑みを浮かべ、じっくり眺めてから飲み物を喉に通した。
「瀬谷さん知ってる?ついこの間なんだけどさ、地下施設で爆発事件があったらしいんだ。その施設で働いていた人の何名か脱走したらしいんだって」
「はは、吸血鬼だったりしてな!」
ははは警察官さん。隣で優雅にカクテル飲んでるその人吸血鬼です。
お店のドアが開きどこかの国の英国紳士風の男性が入店する、仁王はその男性を見るなり血相を変え椅子から立ち上がる。
「柳生っ!!お前さん生きとったんか!!」
「ええ、貴方のおかげで」
警察官は酔いつぶれて同僚に運ばれお店を後にした。
柳生と呼ばれた彼と仁王はお店に残り、椅子へと座る。
瀬谷は柳生に飲み物を出すと、合間を見たのか仁王が口を開き話し始める。
「柳生だけか逃げれたのは…?」
「いえ、拘束されていた数名そして桑原君も逃げれました。ですが丸井君は私達を逃がすために囮になり再び捕まってしまいました。」
「丸井…!」
「そして瀬谷さん、仁王君の事今までありがとうございました。さ、もうこの街に長居は無用でしょう?」
柳生さんが言った言葉は私の頭にすぐに入ってこなかった。私の目の前で話す雅治は、吸血鬼の雅治なんだと改めて実感する。
「馬鹿言わさんな、丸井を助け出すに決まってるぜよ」
「仁王君こそ馬鹿な事言わないでください、丸井君がどんな想いで私達を逃がしてくれたと…」
「柳生、お前は戦闘向きじゃないが俺は戦闘には慣れてるんじゃ。あの時は逃げるのに必死で全力じゃなか…今度は大丈夫ぜよ」
柳生は眼鏡のフレームの位置を手で直すと、瀬谷を全身を眺めてはため息をつくなり、口を開く。
「瀬谷さん、貴女が仁王君を変えてしまったのですか?…それなら今、ここで貴女を殺してあげましょうか!」
「っ!」
柳生は椅子から立ち上がり飲み物から氷柱状の鋭い刃物を作り出すと、それを瀬谷の首元ギリギリに当てる。
「辞めんしゃい柳生、千尋は悪くなか。瀕死の俺に…吸血鬼の俺に血をくれた命の恩人ぜよ」
柳生の目の前に手を出し仁王は攻撃を止めさせる。柳生は仁王の態度と言動を信じたのか氷柱状の刃物はまた飲み物へと戻し、再び椅子に戻る。
「仁王君、人間は実に短命の生き物です。ここまで肩入れする必要はないでしょう?」
「うるさいのう、柳生お前桑原ん所に帰ったらええじゃろ!」
「な、何を言うんですか!もし、仁王君の身に何かあったらどうするんですか!…ちょ、仁王くん、仁王くん??!」
バタンとお店のドアが閉まる。仁王は柳生を追い出し自分のグラスに残った飲み物を一気に喉に流し入れる。
「すまん……千尋の事巻き込んでるぜよ」
「大丈夫、気にしないで。よく分からないけど私もどうしても吸血鬼について知りたいの」
「ははっ千尋の事は俺が守ってやるから安心するぜよ」
