08


地下深くに軍の基地はある。ここには透明なケースに入れられた吸血鬼が数人、何本もの管や線に繋がれ柳により実験が行われている。

研究室では試験管に入った薄桃色に怪しく光る薬品を注射器の中へ入れ、隣で口を塞がれ四肢を固定された吸血鬼が暴れている。注射器を片手に静かに迫り来る柳に怯え固定された四肢を動かすが柳が近づくと同時に暴れるのを辞め震えている。


「ああ、大人しくしているんだ。すぐに済む」


押し子を押し液体が吸血鬼の中に入っていく。注射器の中が空になり柳は離れ近くにある椅子に座り吸血鬼の様子を見る。

すると研究室のドアが開き眠そうな幸村が入ってきた。


「柳、試作結果出たかい?」

「見てくれ」


吸血鬼は目から血を流し口を塞いでいたか布が外れると、耳が壊れるような悲鳴を叫ぶや否や砂になり消えてしまった。


「ふむ、何がダメだったのか」

「柳、吸血鬼は少ないんだから貴重に頼むよ?」


すると研究室の出入口をノックする音が聞こえ、幸村と柳は音の方を見る。するとそこには黒い軍服を身に纏った男が立っていた。


「真田、そっちはどうだ?」

「ああ…街中にな数名見つけた。これからそれを捕獲もしくは倒してくる」

「頼むから真田、殺すより捕獲の方で頼むよ…貴重なサンプルは柳が消しちゃうし真田は捕獲優先でよろしく」


俺は別の仕事があるから、と真田の肩に手を軽くおき幸村はその場から立ち去る。真田はそのまま研究室に入り、再び薬を調合する柳へと近づいた。


「吸血鬼に親を殺されてからだろうか、幸村は変わってしまったな…。自らも吸血鬼になろうとしたりするし余りこんな膨大な施設を作りあげるとは幸村財閥も恐ろしいものだ」

「きっと幸村は、吸血鬼の力を手にした時きっと目を覚ましてくれるだろう…俺はそう信じている」


真田は踵を返し研究室を後にする、残された柳は研究室の出入口を見つめていた。

幸村は幼少期に、吸血鬼に親を殺されてから死ぬほど吸血鬼が大嫌いで殺したいほど憎んでいる、近代に至っては幸村は吸血鬼の力を手に入れようとしていた。

吸血鬼より俺が強くなれば皆を守ってやれる、と幼い頃から口にしていた幸村を知る柳と真田は知っているからこそ、ここまで着いてきているのである。

真田の左目は常に眼帯をしているがその左目には特殊な力があり、その目は吸血鬼かそうでないか化け物かを見分ける事が出来るのだ。


「弦一郎、一緒に資料も持ってきてくれたのか…これは?」


吸血鬼の中に混じり一般市民の資料まで真田は置いていくわけが無い、柳は疑問を抱きながらその資料を眺める。


「瀬谷千尋、ごく普通の女性だ、吸血鬼とは違う…いったい弦一郎には何が見えたと言うんだ?こっちは潜んで暮らしていた奴と逃げ出した奴だな」


真田が用意した資料には瀬谷と仁王の顔写真が映った資料があり、柳は二人をクリップで挟み目立つ所へと置く。

すると紙同士の静電気によりひらりと紙が1枚落ちる。


「ああ、これも弦一郎が持ってきてくれた資料だったか…」


名前 白石蔵ノ介
続柄 吸血鬼