サリア



とりあえず話はまた今度として、
リンクは文句言ってくる!とミドを追いかけてしまい今はいない。
なのでサリアと二人きりになった。可愛らしい子が隣にいると緊張する。

……私はほら、不細工だし暗いほうだしあまり喋ることもないどちらというと根暗なのではきはきと喋る可愛い女の子は眩しいのだ。
あれ?それはいつもくっついてくる友人にもそれらが当てはまるはずなのにこの差はなんなんだろう……。


「ごめんねユキセ。ミドが言うことなんて気にしないで」


不安な表情でも出てしまっていただろうか……。
そばにあった倒木に座り、少し俯きながら謝るサリア。
自分も隣に座らせてもらい、首を横に振りながらべつに平気だと話す。


『ミドって子がああ言うのも無理は無いと思ってるから大丈夫だよ。今の私ってどうしても怪しまれるだろうし……』

「ミド、口だけは達者で単純思考なだけなの。
心までそう思ってるほど複雑なほうじゃないから……あとでちゃんとお仕置きしなくちゃ」


あ、あれ?なんだかサリアが黒く見えるような……最後の方聞こえなかったけれど多分聞いちゃいけないやつだ。私には分かる。
きっと気のせいだ、う、うん。


『い、いいよ、大丈夫大丈夫。ホントあのミド君が言うことも分かるし。
……あの禁断の森と謡われたコキリの森に入れてスタルキッドに
ならないのが異常なんだもん。怪しむ方が普通だって』


何人たりとも外の人間の侵入を拒み、人を魔物に変えた魔の森と呼ばれる場所。
正面から入ってはいないとはいえ、迷いの森の領域に入ってしまった自分。

けれど、一向に魔物にも変化せず二度も訪れてもその予兆は来なかった。異世界から意図せずに来てしまったところはあるとはいえ、ファンタジーなものに触れたいという下心はあったのだ。
それなのに森に迷わず、魔物にも変化しないというこの森の基準がよくわからない。

歓迎されていると言えば聞こえはいいけれど、きっとこれから起こるであろう出来事にまで巻き添えを喰らいたくはないと凡人は思う。

一度は帰るよう促したのに森に住むことを許したデクの樹も一体何を考えているのだろうか。


「コキリ族はこの森に護られてるの、そしてこの森の中でしか生きられない。
外の人たちが置いていっていく書物や道具で私達は外を想像したりする。
けれどみんな外の世界に興味がない訳じゃないの。
でも誰も外の世界を知らないからどんなものが、どんな危険があるのかもわからない。

だからかな……、この頃のリンクは誰よりも一番外に出たいって思ってる」

『……サリアちゃんはそのことをどう思ってるの?』

「リンクはね、ちょっと不思議な感じがするの。
何をしても出来ちゃうし。
だからきっと外にも出られるんじゃないかなって、最近思うの」

『……そうなんだ』


そう言ってサリアは曖昧に笑った。
コキリのみんなとは何処か違う雰囲気を持った男の子。
彼にだけ妖精がいないからなおさら不思議なんだろう、チャンバラではミドには負けないんだよとサリアは以前それを見たのを思い出したのかくすくす笑う。


「コキリ族は一人に一匹の妖精をパートナーに持つの。けれど何故かリンクはその妖精がいない。
そこにユキセが現れた。
きっとね、これからこの森全体に何か変化がある……そう感じる」


両手を胸に当てながらそう話した。
何故妖精がいないのかまでは疑問に持たない。
もしかしたらうすうすとどこか感じ取ってるのかもしれない。

けれど口にはしない。
彼らはずっと子どもだから。

立ち上がりくるりと、綺麗に回転しながらニッコリ微笑む。
サリアの妖精も彼女の気持ちを感じ取っているかのように周りをくるくると踊るように回る。


「私、ユキセが来てくれて嬉しいんだよ。みんな喜ぶなら私も嬉しいもん」


にっこりと微笑み嬉しいとサリアは言った。
なにこの可愛い子。
落ち込んでた自分を勇気づけてくれてこちらも自然と笑みが戻ってく。
けれど私は口にしたくなかった……もし、その変化が悪いものだとしたらどうするのか、という重要なことを。
私だけが外へ出たらきっと死んでしまう。一人での行動は力のない私にとっては危険すぎる。
だからリンクがここから旅立つ“とき”までは私はそれを意識的に避ける必要がある。


『ありがとう、サリアちゃん……けれど私みたいなのがきて迷惑じゃない?』

「ううん、代わりにいっぱい外のお話し聞かせてよ!」

『うーん……私、おしゃべりがあまり得意じゃないの。それでも大丈夫、かな……』

「平気よ、ユキセが感じたことを話して?そしたらみんな分かるはずだから」


なんだか私よりもサリアの方がお姉さんみたいな感じだ。
口下手な上に嘘を重ねるのだからいかにそれらしい話をできるかで、逆に緊張する。
すべての質問に上手く答えることができるだろうか……。
罪悪感よりもいかにその場を凌ぐかが勝っていて、自分の脳内はゲームで得た知識と光景を必死に思い出していた。

ずっと八の字眉にしていたのがいけなかったのかサリアがぐっと拳を握り締めていた。


「あ、(ムカつくからミドを)どう料理しようか考えなくちゃ!」

『え、料理……?』

「うん、お料理のお話だヨ!」


料理て何のことか聞こうとしたがにっこり笑って何でもないの!っと言われた。
なにか黒いものがあるような無いような……。
可愛い、可愛いけどなんだか恐いよこの子……。



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