宝さがし
「今度こそ案内して、それから遊ぼう!」
そう張り切りながらリンクは腰に手を伸ばして付けて人差し指を天高く突きあげ格好つけながら宣言した。
その場のノリに乗っておーと拍手をする。
ちなみ観客は私一人だけである。
案内といっても小さな集落に過ぎないコキリの森。
各地の家や道具を作ってる器用な子や、裁縫所の双子姉妹などを回ればすぐに終わってしまう。
木を削って器用にスプーンやブーメランを作るところを感心しながら見学して、尺を持って測ろうとする双子姉妹から逃げて、あっという間にあとは遊ぶということだけだ。
『で……、なにするの?』
今の歳じゃ皆鬼ごっことかかくれんぼなんて体力使う遊びは体力のない自分はしない、現代っ子らしくデパートでお買い物かゲーセンが遊び場だからなぁ。
リンクとサリアとで悩んでいるとサリアがぽんっと思いついたように口を開く。
「お宝探ししましょ!」
「お宝探し?」
コキリにそんなものあったっけ、とリンクは考える。
サリアが言うには誰かが持ち出したままなくしてしまったというのがお宝らしい。
ああ、あれか。もしかしてコキリの剣かな。外から持ち込んだものの一つだろうその宝物を探したいとサリアは提案したのだ。
リンクが面白そう!と頷き、自分はとくに体力を使わなければ……ということでこの三人でお宝を探すことにした。
「迷いの森は怒られるから行けないし……」
「そもそも行けないからあるのはコキリの森かも」
「あ、そっか」
意外とサリアは冴えていて迷いの森以外ならここ、コキリの森しかないということで探すことにした。
え?あ、ごめんサリアちゃんがいつも冴えてないっていう訳じゃないよ寧ろすごく冴えてるし物事はっきり言うタイプだもんね許して!
木に登ったり、屋根を見たりと色んな所を探したが見つからなかった。
うん、本当はなんとなく場所を知ってるんだけれど口に出したら怪しまれるから言いたくても言えない
このもどかしさ……。
「見つからないね」
きょろきょろと辺りを見回す。
記憶上、デクの樹を北とすればコキリの森の南の位置あたりにあったような……。
歩き回るうちに、丸太やロープで作られたアスレチックのような広場にたどり着いた。
例の器用な子(道具屋の)が作ったんだろうか?
意外と本格的でロープで遠くまで滑れる所もある。
本格的なアスレチックに夢中になっているとリンクがなにか見つけたようだ。
「ん?なんだろこの穴……?」
リンクが指を指した人一人くらいなら入れる大きさの穴。大岩に隠れて見えなかったけどそんな所に秘密基地みたいな場所があったなんて。
そこの壁に穴があいてあり自分もぎりぎり入るかどうか……な大きさだった。
壁に耳を当ててもなにも音はしない。そりゃゲームみたいに永遠に岩がゴロゴロ回ってる訳はないか。
『いってみる?』
「うえぇ!?い、行くの?」
子どもならこういった好奇心が出てくるところじゃないのか。未来を知る自分にとっては不安になるんだけど……。
まあまだ子どもだからね。
そういう自分も子どもだけども。
「なんだよ、恐くていけないのかぁー?」
小馬鹿にするような声が聞こえ振り向けばミドがいた。暇なのかなんなのか、手下たちは手仕事があるからか側にいなかった。
「なんだ、よそ者のブスまでいたのかよ」
その馬鹿にしたような言い方に思わずム、とする。
リンクの次は私をターゲットに決めたらしい。
ニヤニヤと悪い笑みをこぼしながら小馬鹿にしてくるミドにドシドシと近寄り通り過ぎた……と見せかけて首を腕でロックかけての海老反りの技を決めた。
ふはは、見たか私の力を!
『人に悪口言っても体のことを言うのはぜったいにいけないんだっつの〜!!分かったかこのおチビ!』
「よそ者のく、グゲゲゲ!ぎ、ギブギブ!」
私はミドの後ろにいるため蹴りも届かないし首に腕を回してるため噛みつきもできない。
肘鉄食らわされたら流石に怯むけれど単純なミドはひたすら腕を緩めようともがくだけなので意味がない。
ついでにおチビにも反応しなかった、お馬鹿である。
ヘッドロック終わったら次は脚を捕まえて体を柔らかくさせてあげようかと思ったがそれはさすがにリンクが止めた。
あとで簡単なプロレス技なら教えてあげるからね。
「ゲホゲホ……お前とオレどっちが宝箱に着くか勝負だ……」
『……たいがい暇だね』
「そうだ、なら先にミドに行ってもらいましょ?」
良い提案!と言わんばかりの良い笑みでサリアがミドを指名する。
まさか自分が指名されると思わなかったのか、単にリンクと私をバカにしたかっただけなのか、きょとんと訳わからない表情をしていた。
「え、オレ?」
「そう、ミドだけ!……やっぱ恐いから無理かなぁ、ミドだもんねぇ」
挑発的な言葉もミドにとっては可愛い女の子のお願いらしい。
いつか尻に引かれるなぁ、いや既に引かれてるか。
ついでに剣とってきてくれないかなぁ……と思ったが流石にそれは酷かな。
しばらくすると石がゴロゴロと動いている音とミドの情けない悲鳴が聞こえた。
『……』
あれ絶対タイミング間違えたな。出るタイミングさえ間違えなきゃ楽なのに。
そっとしておいた方がうるさい声も消えるし楽かもしれない……。
『……いっそ、このままにさせちゃおうか』
「え゛」
「そうしましょ!」
「ちょっと、二人とも……」
迷いのない頷きをするサリアにリンクがぎょっとしていた。
さすがに哀れに思ったのか、リンクがこのままでは可哀想だと訴えに出た。
いや、あれはお灸を据える形で良いんじゃないかと思ったんだけど。
決してめんどくさい訳じゃないよ、うん。
仕方なくリンクを押し込んで自分も穴の中に入った。(ぎりぎりでちょっとくるしかった……)
穴から出てあの大岩が転がってるところを見る。体力は無駄にあるのかミドはまだ元気にはしっている。
「あ、ミド」
『あらら……追われてるし』
見事にミドは大岩に追われていた。うわ、あれでだいたい何周してるんだろ。
とりあえずしばらく観賞してからリンクかミドの手を引っ張り救出した。
ミドは今にも死にそうな顔をしていた、相当走らされたようだ。
なんの仕掛けでこんなものがあるのか知らないが、あの場所から立ち去ると岩の転がる音は聞こえなくなった。
もうなんだかデクの樹の悪戯じゃないかと思う、こんなことできる存在なんて精霊くらいでしょうに。
疲労で倒れていたミドがよろよろと立ち上がりながらその場から去っていった。
「ぜぇっ……ぜぇっ……覚えてろよ……」
『……忘れてあげたほうがいいかもね』
捨て台詞忘れないのは感心するけれど、いっそ哀れである。
思ったよりつまらなかったなと思ったが、まあそこは情けないミドの悲鳴を聞けたので満足しよう。
結局お宝も剣もなく、けれど色んな所を見て回れたから楽しかった。
「結局なんもなくてつまんなかったなぁ」
とリンクののんびりとした声が聞こえた。