初戦危機一髪
目の前にはギョロついた目玉をした醜い化け物、手に持っているのはあと何発かの硬い殻に通用するかもわからないデクの実。
姉ちゃんがチビゴーマとゴーマの攻撃によって壁にぶつかってから全然動かない。
そしてゴーマは余裕綽々と姉ちゃんに止めを刺すためにゆっくり近づいていった。
「姉ちゃんっ!!起きろって!じゃなきゃみんなが……!」
何度も叫んだ。
逃げろ、動けと。
もしかしてもう死んで……急いでその最悪な考えを打ち消した。
本当はここで動いてれば、あのとき囮になることをやめさせていれば、
こんなことにならなかったかもしれない。
持っていたパチンコを握りしめて、適当にゴーマに当てて注意をひいた。
「こっちだバケモノ!!」
震える脚をごまかしながらゴーマを睨みつける。こちらに狙いを定めたゴーマは方向を変えて向かってきた。
いつでも逃げる準備は出来てる……けどさっきからミドの声が聞こえない。
こちらに引き付けた時に文句の一つでも言われるかと思ったのに。
ゴーマの目前でミドが剣を構えながら恐怖に固まってるのが見えた。怖くて脚が震えて動かないようだった。
「危ない!!」
ミドの手を引いて攻撃を避けた。
ミドがいた場所にはゴーマの爪で陥没した地面があった。
ついでに剣も何処かへと投げ出されたようだ。
「あぶねぇなもう、固まってんじゃねーよ!」
「る、るせーな、お節介!」
《喧嘩してる場合!?》
助けてあげたにも関わらず減らず口を叩くミドを見てもう助けんの止めようかなと思っても許されるはずだ。
少しくらい感謝する、というのを覚えて欲しい。
パチンコを使ってゴーマに攻撃するけど全然効果が無くて、じりじりと後ろに後退した。
すると、後ろに纏わりつくものがあり身動きが取れなくなった。
いつのまにかそこに蜘蛛の巣が張ってあってそれに引っかかったようだ。粘っこい糸が動くほど貼り付いて身動きが取れないし、気持ち悪い。
「あっ、くそっ……!」
段々近づいてくるゴーマに弾を当てるがどれも効いてなくて、ついに最後の一弾しか無くなった。
姉ちゃんもオレもミドも、もうだめかもしれない……。
デクの樹サマ……!!
「うぉりゃああ!!」
ミドが声を上げてゴーマに石を投げていた。けれど石は的を外れて色んな場所に転がっていった。
本人は隠してるようだけれど、ミドはコキリのみんなの中で一番の怖がりだ。
ましてや、あの化け物相手だなんて誰でも怖いはずなのに……。
自分の体に鞭打って必死に立ち向かっていた。
オレは諦めかけていたけれど、ミドは諦めてなかった。
「ミド……」
その時、思いもしない声が聞こえた。
一番聞きたかった声だ。ハッとしてその声の方へと顔を向ける。
『ミド!目玉を狙って!!』
頭を押さえながらよろりと立ち上がり、こちらへと走ってくるその姿に目を見開いた。
目の前に希望が少しずつ見えてきた。