萌ゆる緑に身を焦がす


「あ、ぐ……っ、ぅう……っ!」

 お腹の中をみっちりと満たす熱と質量に汗が溢れるのを感じながら、息をしようと試みる。無意味に力が入る身体を何とか緩めようとするもうまく制御が効かない。
 薬を盛られようが発情していようが、結局は初めてなのだ。挿入時に覚えたのは快感でもなければ満足感でもなく、圧迫感と異物感だけだった。

「もう少し、力を抜け……っ!」
「むり、これ……っ、おまえの、でかすぎ……っ」

 眉根を寄せて耐える僕の上でヴァンが息を詰める。多分絞めすぎて痛いのだろう。
 長く息を吐く音がしたかと思うと、覆いかぶさってきたヴァンに口がふさがれた。
 無遠慮に割り入ってきた舌が口の中をかき混ぜる。舌を吸い上げられるとじんと響く快感に中のものを締め付けてしまう。押しのけてやりたいのに、ただ振り上げるだけならともかく、腕にうまく力が入らない。
 それでも延々と口内をかき混ぜられていく内に段々と自分の身体から力が抜けていくのが解った。
 その隙を縫うようにずんと奥を突きあげられて、くぐもった悲鳴が唇の隙間から漏れる。

「早く出せ、だったか」
「は……っ、ぁ。あっ」
「明日は動けないだろうな」
「ぁ、あ……っ、ぁああっ!」

 ゆっくりと引き抜かれたものがまた奥を突きあげた。
 ヴァンが跳ね上がる腰を抱き寄せ、律動を始める。じゅぶ、ぷちゅ、と響く音が煩わしい。
 腰骨を削ぐような突き上げがイイところを掠めて感じてしまう身体が憎たらしい。

「あぁあっ、あっ、んっ、ぁあああっ! はっあ、ぁっ、ぁあああっ!」
「よく鳴く……っ、まあ、痛むよりは良かろう」
「あっ、うるさ、ぁ、ぁああっ! ひあっ、あっ、ぁあーーっ! あっ、ぁああっ!」
「まだ悪態をつけるだけの理性があるか。流石だな」

 逃げようとする腰をがっちりと捕まれて、気持ちいいところを強く擦り上げる。無駄にうまいのが腹立たしい。
 全身に響く気持ちよさに喘いでしまうのを止められない。最初は圧迫感しかなかったのに、すぐにしっかりと快感を得ている自分が居るのに気付く。またヴァンを蹴り上げようとして、けれどうまく動かない足はただ空ぶるだけだった。

「ぁあっ、あっ、ぁああーーっ! はあっあ、ぁっ、あぁあっ、ふ、ぅあ、ぁあああっ!」
「だが大分溶けてきたな。良い顔をする……っ」
「あっ、んぁああっ! はっあっ、ぁああっ、もっ、やめ、あ、ぁああっ!」
「今やめたら辛いのはイオンだろう。また出しておくか?」
「いらなっ、ぁっあぁああ!」

 ずるりと、まだ出していないものが引き抜かれる。
 隙間を埋めていたものがなくなった穴がぱっくりと口を開け、寂しそうにひくついているのが解った。
 胸を上下させる僕の身体をひっくり返し、腰を持ち上げられる。硬いものが宛がわれる感触。今度は一気に貫かれて、目を見開いて圧迫感に声を溢れさせた。

「ぁああああっ!」
「さっきよりは、ましになったか……っ、一度出しておけ」
「いらな、いって、言って! あっ、やめろっ、ヴァンッ! あっ、あっ、ぁあああっ! それやだ、あっ!」

 ゆるゆると奥を突かれながら、腹に回された手が痛いくらいに張り詰めたものをしごきあげる。
 中からも外からも刺激された身体は簡単に天へと昇りつめようとする。
 こみ上げる射精感に身悶えるがそれもあっさりと押さえつけられ、ひぃひぃと啼いて。ああ、なんて惨めだ。

「あっぁあああっ! 出るっ、また出……っ、やめっ、ヴァ、ンッ! あっ、ぁああっ! やだ、ぁああっ! あぁああぁああっ!!」

 今度こそ悲鳴のような声を上げながら腹の底から欲をぶちまけた。くそったれ。
 搾り取るように中を締め付けても、ヴァンはまだ射精をしない。ただ長く息を吐いているあたり、気持ちよくはあるのだろうが。
 目尻に溜まった涙を瞬きで落としながら、疲れて眩暈のする頭を動かしてヴァンを振り返る。
  ぜいぜいと息をしながら、それでも掠れた喉を震わせて。笑みを作ってヴァンを挑発する。

「導、師を……っ」
「イオン?」
「抱くのが、そんなに……っ、気に入った……っ? 出すのが、惜しい、くらい……っ」
「……ほう?」
「出せよ、早く……っ、終わら、せろ……は、ん」

 ヴァンは僅かに目を見開くと、僕の腕をとって汗に濡れた上半身を持ち上げた。
 食い込む位置が変わってまた喉が鳴る。くらりと揺れる視界に自分の身体が限界を訴えているのが解った。

「そうだな……確かに、惜しい」
「うあ、ぁ……っ」
「イオンの鳴く声は、乱れる姿には、その価値がある。出来ればもう少し素直な姿を見て終わらせたかったのだが……」
「ぁあああ……っ!」

 ぐり、ぐりといいところを押し上げられる。
 びくつく身体を抱き寄せられ、首筋に吸い付かれる。

「だがまあ……確かに、余り時間をかけすぎても辛いか。気を失ってくれるなよ」
「あっ、ぁあああっ! あっあ、ぁっ、あぁああっ!」
「楽しみが半減するからな」
「ぁああぁあっ!」

 突飛ばすように押し倒され、上からのしかかられる。ぶちゅりと音を立てて奥まで入り込んできたものに、今まで全て入っていたわけではないと悟る。
 奥まで抉られて目を見開く僕の身体を、ヴァンは容赦なく揺さぶり始めた。
 腰を打ち付けられる度に響く卑猥な水音。いいところを強く抉られる快感に身体が跳ねあがる。
 快楽を逃がそうにも上から肩を抑えつけられては腰を引くことも出来なくて、荒波のように押し寄せる快感に開きっぱなしの唇から嬌声が溢れて脳を揺さぶる。

「んあっ、あ、ぁあああっ! ヴァ、ンッ、あっ、ぁあああっ! はげひっ、んっ、かげん、しろ、って! あ、ぁあああっ、ぁああっ、あっぁっあっ、ぁあああっ!」
「出して欲しいんだろう?」
「あっ、あぁああぁっ! こわれっ、あっ、からだ、むりっ! あっぁあああっ! あぁあっ、はっあっ、しぬっ! あっあっ、ぁあああっ!」
「そう簡単に、死なせはしない……っ」

 ヴァンの息が乱れているのが解った。ぐちゃぐちゃにかき混ぜられた頭の中がちかちかと明滅していた。
 口端から零れ落ちる涎が顎を伝うのもそのままに、ヴァンに容赦なく腰を打ち付けられ限界まで背中を逸らす。
 意識が落ちかけても奥を突きあげられることでまた引き戻されて。こみ上げる射精感に任せて中を抉られる快感に絶え間なく涙を溢れさせて。

「ぁあぁああーーっ! あぁああっ、はやく、出せ……って!  あっぁああっ、ぁああああっ! あっあぁっ、ぁあああっ! また出るっ! もっ、むりっあっ、ヴァンッ、あっ、ぁあああっ! あっぁっあっ!」
「そろそろ、出すぞ……っ、受け止めてくれるだろう、イオン……ッ!」
「あっあぁあああっ! 出るっ! また出るっう、んっ! あっ、んぁあっ! ああぁああーーっ! あっあっああああっ! ヴァ、ぁっあっ、ああぁああっ! うあぁあああぁああっ!!」

 限界まで喉を震わせながらまた精を吐き出す。トコロテンなんて最悪だ。ぼたぼたと溢れる最中に手でしごかれて、過剰な快楽に何度も腰が跳ねた。
 締め付ける中を堪能するようにヴァンも腰を押し付けてきて、そのまま奥の奥で精を吐き出していく。
 お腹の中を満たしていくどろりとした熱。最期の一滴まで余さず注ぎ込もうと、何度か緩く抜き差しをされてまた身体が跳ねた。

「あ……ぁ、あ……っ」

 限界だ。
 嗚咽なんだか嬌声なんだか解らない声を漏らしながら頭を枕に落とす。
 背後でヴァンが何か言っている気がしたが、僕の意識はそこでふつりと途切れた。

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