止まらぬ
七日後の早朝。
試験が終わって、何とか鬼殺隊に入隊できるようである私が周りを見渡すと、彼はまた気迫の薄い佇まいでそこにいた。
お礼を言うのも変な話だが、あの強い鬼を切ってくれたのは彼だ。名前ぐらい聞いてもバチは当たらないだろう、と声をかけようとした所で、双子らしき女の子達がいたのに気付いた。
「おかえりなさいませ」
「おめでとうございます。ご無事でなによりです」
真っ黒な大きな瞳がお揃いの、日本人形に良く似た可愛らしい双子だ。
「まずは隊服を支給させていただきます」
「体の寸法を測りその後は階級を刻ませていただきます」
じぃとその二人を見、話を聞いていると私達の階級は一番したの葵で、玉鋼を今日に選んで十日から十五日にかけて刀がつくられるらしい。
あとは連絡用の鎹鴉というのが貰えるようだ。
軽い重みを肩に感じてそちらに視線を向けると、やけに真ん丸の、黒々とした瞳の可愛げのある鴉が私を見ていた。
ついと顎の下に触れてみると、上を向いて目を細めた。
「よろしくね。」
人差し指で撫で続けていると、その鴉は「カァ。」と嬉しげに鳴いた。
「ではあちらから刀を造る鋼を選んでくださいませ」
見ればそこにはゴロゴロと置かれた玉鋼。
違いがわからぬ、と云々唸って見ていると、件のぼんやりとした彼はスッと一つの玉鋼を手にした。
気にも止めぬと即決した彼に驚きながらも、なんとなしにその彼の取った隣の玉鋼が、本当に何となく選んで欲しそうな色合いに見えたので、それを手に取った。
選んだそれを手渡し、あっと顔をあげると、例のぼんやりとした彼はいなくなっていた。
嘘だろ、と思い慌てて周囲を探すと、既に歩き出していた彼が目に入った。
周りに興味無さすぎでは、と失礼な悪態を着きながらも、私は彼の後を追った。
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