※例のイベントです。ネタバレ注意
「モーグリ大変だ{emj_ip_0792}」
珍しく慌てているイグニスに朝の静寂を奪われた。
早朝、日が昇る少し前に目覚めたモーグリは、キャンプ地の前の湖を気持ち良く散歩していた。普段はノクトと同じくらい朝に弱いが今日は珍しかったので、早起きして散歩しちゃうなんて何だかいい1日になりそう!と思っていた矢先である。
「ど、どうしたの?!」
帰ってきて早々、慌てたイグニスに出くわす。
「さっき、顔を洗おうと眼鏡を外したら…野生の黒チョコボに持っていかれたんだ…{emj_ip_0792}」
よく見たら眼鏡をしてない。眼鏡がないとほんと若く見えるなあ、とか思ってしまうが実際若かった。失礼。
「…スペアないの?」
「あるが、あれはまだ使える…。一緒に探してくれないか?!」
「えー、めん…いいよ。わかった。」
一瞬めんどくさいと言いかけたが言い留まる。
「すまない、恩に着る。」
このやり取り、このあいだノクトにもしていた気がするんですけど。
黒チョコボはカラスなのか?光物が好きなのか?てゆーかイグニスらしくもない、2度も同じことを繰り返すとは何事か。
せっかくイグニスにコーヒー貰って朝食を作る姿を見ながらお喋りしようと思ったのに。
モーグリは渋々イグニスの言う黒チョコボが逃走したであろう方向へ向かう。
「眼鏡なくても見えてるんだっけ?」
めんどくさいとは言え、朝から2人で散歩と思えば気が楽になった。
あまり見られない、イグニスの眼鏡なしの顔を見られて少し得した気分になりながら問う。
「ああ、見えていないわけではないんだが、少しボヤける。はっきり見えてないと落ち着かなくてな。」
「イグニスらしいね。」
「…いつも言うが、俺らしい、とは何なんだ?」
こっちだ、と言いながら獣道を曲がってモーグリの方を見た。
「んー…一言で言えば生真面目?」
その答えに一瞬困った顔をする。
「…たまに、同年代の人間がどのように振る舞うのかが解らなくて、話しかけてもらっても接し方に困るんだ。」
だからグラディオやモーグリが羨ましくなる。と言われた。
グラディオは、あれはまた特殊な感じで年相応に見えないけど…貫禄あるし。
「そうかな?私はイグニスが羨ましいよ。落ち着いてる大人なイグニスがカッコよくて好きだなあ。」
私は子供っぽいってよく言われるからさあ、と笑って言う。
イグニスは少し目を見開いて、そのあと優しく笑って「ありがとう。」と言った。
「あ、か、カッコよくて好きとか…深い意味はないからね…ッ{emj_ip_0792}」
モーグリは言ったあと恥ずかしくなって誤魔化すが、顔が赤くなって余計に恥ずかしくなる。
「モーグリ、あまり早く歩くと…ッ{emj_ip_0792}」
恥ずかしくなって早歩きでズンズン進んだせいか、朝露で湿った草に滑ってしまった。
「ぅわあ」
間一髪のところでイグニスに腕を掴まれて抱きしめられる。ふわり、とイグニスの香水なのかわからないが、いい匂いがした。
「ぁ…」
温かい体温と、細いながらもガッシリとした男性らしい腕につい見惚れてしまい、離れるのを忘れてしまう。
「まったく、大丈夫か?」
そのままイグニスがモーグリの顔を覗き込んだ。
ああ、ボヤけるんだっけ。と、今の赤くてニヤけた顔を見られなくてよかったと思う。
だが、
「モーグリはまつ毛が長いな。」
「へ?」
口をパクパクさせながらイグニスを見る。
アレ?見えてるの?
モーグリの心中を察したのか、イグニスは
「これだけ近ければ見える。」と、意地悪く笑って答えた。
「真っ赤だな。」
更に言われて何も言えなくなる。
眼鏡を外した顔と、意地悪な微笑みは、年相応の青年だった。
「…生真面目は撤回…。」
ボソっと言うとおずおずと身体を離した。
「そーゆー顔出来るなら十分かと思いますが、」
年相応っぽくない、と悩んでいたようだがどうやら心配いらないようだった。
からかわれたモーグリは少し拗ねて言った。
「俺もモーグリの子供っぽい所、可愛くて好きだが。」
「………」
ああ、もう。お願いだからこれ以上ときめかせないで下さい。
「…そ、そんな事より、黒チョコボ…」
叶わないなあ、さすが未来の参謀。
そのまま「また滑られては困るからな。」と言われてモーグリの手を掴むと、道なき獣道を進んで行った。
「クエッ{emj_ip_0792}」
「ほーら、美味しい野菜だぞ〜。食べないと、損をするぞ〜。」
ギザールの野菜を片手に必死に黒チョコボの気をそらすイグニスの姿は、それはそれでシュールで笑ってしまったのであった。
うん、これはこれで新しいイグニスだな。
なんだかんだでいい1日の始まりでした。
END
2017.03.08
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