朦朧とする意識の中で、ゆらゆら揺れる。
どうして揺れているんだろう。
そんな事を思いながら、目をあける。
見えたのは、夕日に染まる学校の廊下とその少し下に広がる黒、上に描かれた薄水色のライン。
そして、少し揺れながら進む景色。

「あれ…」
「…気が付いたか」

すぐ近くから聞こえる低めの声。
少し首を動かすと、濃紺の髪が見えた。
聞いたことのある声、少し特徴的な髪形。

「…遊作?」
「あぁ」

どうやら、私は遊作に背負われているようだった。
なぜそうなったかを考えようとすると、頭痛が走った。

「っ!…」
「熱があるんだ、痛いと思うが我慢しろ」
「熱…?」
「日直の仕事途中で急に倒れたんだ。額は熱いし、息苦しそうだったから今保健師室に向かってる」
「そう、なんだ…」

そう言えば、今日は朝から少し頭が痛かったかもしれない。
なるべく動かないようにしていたけど、今日は遊作と日直だったから頼みごとを頼まれたりで動いていることの方が多かった。

「頭が痛いなら、言ってもよかったんだぞ」
「さすがに熱だとまでは思わなくて…あはは」
「はぁ…とりあえず保健室までもう暫くかかるから寝てろ」

保健室と教室は階が大分違うため遠い。
思えば、遊作の歩くスピードはいつもよりだいぶ遅かった。
私を背負っているのもあるのだろう。

「…ごめんね。遊作」
「謝らなくていい…次は、ちゃんと言えよ」
「うん…ありがとう」

少し覚醒していた意識がまたぼやける。
私は、頭を遊作の背に預ける。

「ありがとう…遊作」

彼のくれる優しい温度に触れながら、また目を閉じた。



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