公園での一件から数日、綾瀬の学校生活は少々不安なものへと変わった。
原因は、あの男子生徒によく見られるようになったのである。
最初は気のせいだと思っていたが、朝のHRや休み時間の移動などふとした時に見られていることに気がついた。
見られること以外なにかされているわけではないのだが、視線が気になってしまう以上安心して学校生活を送ることができなくなった。
「(どうしよう、あの時の事で「変な子」って思われたのかな…)」
(その可能性はなくはないけど、元々見てきたのはあっちだよ!綾瀬がなにか悪いことしたわけじゃないし!)
「(まぁ、そうなんだけど。でもなんで見られるのかなぁ)」
(う~ん…手っ取り早いのは聞くのが一番だけど)
「(怖くて無理です)」
(…だよね)
「あ~もうどうしたら良いんだろ」
帰宅後、自室のベッドに寝転がりながら綾瀬はため息を付いた。
「(藤木遊作君、だっけ。まさか同じクラスの人を怖いと思うことになるなんて)」
基本的にクラスメイトの名前はよく話す相手しか覚えないが、遊作に関してはいつの間にか覚えてしまっていた。
否、最初に出会った出来事や現在の状況への不安から気になって覚えてしまったという方が正しいだろう。
(何度も言うけどさ、別に綾瀬が何かしたわけじゃないんだからさ気にせず過ごしてれば良いんだって!)
「(わかってるんだけど、やっぱり怖いって思うとなかなかそうも行かなくて…八方塞がり…)」
(あーあ)
斗亜はそんな綾瀬の様子を見ながらため息をついた。
(たしかに、怖いっていうのは分かるよ。けど、綾瀬が不安なまま学校に行っちゃうことがわたしにとっては怖いことだよ)
「(…斗亜の言う通り、直接話したり、出来ないないなら気にしないようにするのが一番なのはわかってるんだよ)」
(うん。多分、こういったことはちゃんと相手と話さないと解決しないよ。悪い結果だとしても、このままよりかは大分良いと思うよ)
「(うん…)」
綾瀬はベッドから起き上がった。
たしかに「怖い」という気持ちを消し去る事はできないが、不安なまま学校生活を過ごしたいわけではないのも本心だった。
「(とりあえず、気にしないようにしてみてあまりにも気になったら話しかけることにする!)」
(うん、そうしよ!)
「(よしっ…でもやっぱり怖い)」
綾瀬はまたベッドに横になった。
(諦めるのはやっ!!)
「(諦めてない!)」
(ホントに?)
「(ホント!ちょっと怖いだけだから)」
(…はいはい(まぁ元気そうだから大丈夫かな))
斗亜はそんな事を思った。
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