夜になり、綾瀬は自室にいた。
高校の課題などやることは一通り終え、後は葵もといブルーエンジェルの応援である。

「今日は葵が出るからLINKVRAINSに行こうかな~」
(別に専門チャンネルで生放送するんだし、アクセスする必要ないと思うんだけど)
「でも、実際にいる場所だからこその盛り上がりって楽しいでしょ」
(それは分かるけどさ…)

斗亜は綾瀬がLINKVRAINSに行くことをあまり快く思っていない。
本人は「そこまでデュエルが強いわけじゃないのにわざわざアバターを作る必要があるのか」と言っていた。
確かに、綾瀬はデュエルをある程度やっているは言えど、実力的には強いとは言えない。
しかし、綾瀬は自分の友人の応援と、LINKVRAINSのシステム自体が面白いという理由でアバターを作っている。
それを入れても斗亜は納得しなかった。

「…今日はやけに渋るけど、何かあった?」
(特にないけど…別に行かなくても良いじゃんって思っただけ!それだけ!)
「…わかった。今日は生放送を見ることにするよ」
(え、行かない?)
「いや、渋ってたのは斗亜の方でしょ…流石にそこまで渋られるとちょっと怖いから」
(…ごめん)
「別に謝らなくていいよ。さ、観戦の準備準備!」

綾瀬は机の下においてあるデスクトップをを立ち上げ、2つあるうちの1つのモニターにLINKVRAINSの生放送をしているチャンネルを開く。
もう一つのモニターにはSNSの画面を開いた。

「別に怒ってないから大丈夫だよ」
(そう…?)
「うん。だから、葵の応援しよう!」
(…そうだね!)

綾瀬は椅子に座り、放送開始を楽しみに待った。

(ごめん。今日は、本当に行っちゃいけない気がしたんだよ…綾瀬)

斗亜のその思いを知らないまま。


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