06
ちょっと息抜きに散歩するというラバキンさんにくっついて郊外へ出てきた。彼は武装しているのでモンスターが出ても安心だ。
グレイリッジの南の方、クライス団の本拠地が見える辺りには切り立った崖がある。ここの景色は絶景だった。せっかくだからと持ってきたノートを広げて風景をさらさら描き出す。町から見る景色とは全然違って面白い。
私の横に座り込んで崖の向こうを覗き込んでいたラバキンさんは、ぼーっとするのに飽きたのか「俺もやる」と言い出した。らくがきの終わったノートを手渡し、今度は私がぼんやり景色を眺める。
「……うーーーん」
「描けました?」
「無理だな!」
無理ではないと思うのだけど。苦笑しながら返されたノートを開いてみる。
「……こればかりは好みの問題ですから。見る人が見れば魅力的なのでは?」
「要するにヘタってこったな」
「はい」
「リオはもうちょっと優しい言い方ってものを学ぼうか!」
「えーと、味のある絵ですね?」
「……おう。ありがとよ」
私の絵は正確だ。対象を目の前にしながら描き写すのは得意だった。ラバキンさんの絵は彼の性格に見合う粗削りな線で、実際の情報そのままというには余計なものや足りないものが多すぎる。
でもなぜだか、私の絵は「どこかの風景」で、彼の描いたのは「グレイリッジ」に見えるのだった。同じものを見てるのに視点が重ならない。私と彼は今もまだ違う場所にいるみたいだ。