12
昼過ぎには一度うちに顔を出すつもりだったんだが、鉱山でうろうろしてる間にすっかり日が暮れてしまったらしい。グレイリッジの町に着いたときには夜になっていた。今日は来ないと思ったんだろう、家の明かりは消えている。
音を立てないよう気をつけて帰宅したらリオはもう自分の部屋で眠っていた。掛け布団と、なぜか枕まで抱き締めて横向きに寝ている。肩も背中も出しっぱなしで風邪引くぞ。
ちょっと寝るの早いんじゃないかと思わないでもないが、無駄に夜更かしするタイプでもないから仕方ないか。できれば一言二言の会話がしたかった。しかし、穏やかに寝息を立てるリオを見て起こせるほどの鬼畜にはなれない。
「しゃーねぇ、また明日だな。おやすみリオ」
リオの腕から注意深く布団を抜き取りかけ直してやる。俺も自分の部屋で寝ようと背を向けた瞬間、「うーん」と小さな唸り声が聞こえて振り向いたらリオはまた掛け布団を丸めて抱きかかえていた。
「……お前さては寝相悪いな?」
何か抱いてないと寝られないのかもしれない。子供っぽくて可愛いじゃねぇか。今度抱き枕でも買ってやろうかな。だがそれよりも今はとりあえず、風邪を引かないよう布団をかけてやるのが先決だ。
別のものを抱かせてやれば布団を丸め込まないかもしれない。例えば俺が添い寝してリオを抱っこして布団をかぶるってのは、それはさすがにないな、駄目だ。変態じゃねぇんだからよ。
女の子なんだからぬいぐるみの一つでも持っていればそれを抱き枕代わりにできるってのに、リオの私物というと本ばかりだからそれもできない。大切な娘の健康のため、どうする、俺! かくなるうえは……。
俺は自室から運んできた俺の布団をリオにかけてやることにした。おかげさんでコートでも羽織って寝るしかなくなったわけだが、自分の布団を抱えて俺の布団であったかく、満足げなリオの寝顔を見れば夜の寒さなんぞどうということもない。
ただ、自分の寝相の悪さを考えると朝には床で目覚める可能性がある。こりゃ俺が風邪引くかもしれねぇな。