20
朝起きたら珍しいことにリオが居眠りしてたんだ。テーブルに突っ伏して、やわらけぇ頬っぺたがむにゅっとつぶれて、開けっぱなしの口からヨダレが垂れていた。よっぽど疲れてるんだなと思って代わりに朝飯を作ってたらすぐに目を覚まして、聞いてもないのに真っ赤な顔で「寝てないです」つってた。
という話をローガンにしたら、目を丸くして驚いていた。無理もない。俺もびっくりしたからな。
「リオが居眠り? 口を開けっ放して?」
「意外だろ。あんなの初めて見たぜ」
「いつもきっちりした娘だからな……」
計画通りの生活を重んじるリオには滅多とないことだと思う。だからこそ、そんな気の抜けた姿を目にするのがなんとなく嬉しかった。
「すっかりラバキンに気を許したんだな……」
「そりゃ嬉しいねえ。けどよ、今まで警戒してたってことならなんか複雑な気もするんだ」
「リオはずっとそうだったんだ。周りの手を掴むことなくすべて一人で背負わなきゃいけないと思い詰めていたよ。お前のお陰で、やっと子供に戻れたんだな」
「……そうか」
俺は今のリオしか知らないから緻密な計画のもとで生きようとするあの性格が本来のものだと思っていた。両親がいた頃は違っただろうに、気張って生きることに慣れてしまったリオは家にいてさえ無防備になれなかったのか。
でも、俺の前で寛いでくれるようになった。年相応の頼りなさも見せてくれる。それは幸せだ。俺でもあいつの支えになれてるって、ことだよな。