24



 考えてみると私はラバキンさんがグレイリッジに帰ってくるのを待つばかりで、彼がシトロン城にいるときに訪ねて行くことなんてほとんどない。クライス団の一員としての姿をまったくと言っていいほど知らないのだった。
「それはあまり考えなくていいと思うよ。家にいる時と本当に変わらないからね」
 苦笑するローガンさんに頷きつつも、やっぱり気になった。ラバキンさんは裏表のない人だ。誰に対しても素直に接するから家の外で私の知らない人と話していても“私の見たことない顔”なんて無いのだろうとは思う。
「でも私、ラバキンさんの周りにいる人を知らない。好きな人、嫌いな人、気が合う人、仲の悪い人……」
 私は協会の人間だから、クライス団に属するラバキンさんは気を使って仲間の話をしない。彼の友人なんてグレイリッジに住む人としてローガンさんやギリアム様を知っているだけだ。
 彼がどうしてクライス団にいるのか、その思想がどんなものか、私は本当のところを理解してない。
「リオはラバキンを尊敬しているんだな」
「……そうかもしれません。あまりにも違いすぎて憧れるんです。あの人のことをもっと知りたい」
「ヤトもそうだったよ。本人は認めないだろうけど。ラバキンが他の町のやつと遊んでいたら拗ねていたっけなぁ」
 それはまったく、私の心境に似通いすぎていて複雑な気分だ。私は亡き父を尊敬してるし、それとはまた違う面でラバキンさんに焦がれてもいる。二人の友人関係をなぞりたいわけじゃないのに、私と彼は父さんを介さなければ繋がらない。
 “親友の娘”から抜け出すためには他人と接する彼を知らなきゃいけないんじゃないだろうか。



 24 / 43 

back | menu | top