31



 農牧場でチビどもが走り回っているのを眺めてると、自分がじいさんになっちまった気がして嫌だ。隣で寛ぐローガンは俺と違ってただ微笑ましそうに見つめている。これが子持ちとの余裕の差かもなぁ……。
「しっかし目まぐるしいやつらだ」
「楽しそうでいいじゃないか」
「まあな。あの歳で趣味と仕事を両立できてるなんて羨ましいぜ」
 にしてもあの素早さ、見てると目が回りそうになる。子供ってのは大体すばしっこいもんだがあのオータってのはフューリーロアだけあって別格だった。気儘に駆け回るもさもさに余裕で追いついて誘導し、きっちり面倒見てやっている。
 対してオータを手伝いに来てるらしいテハ村のナズは動物の速さについて行けないようだ。厚着のせいもあるんだろうが、極寒の地で生まれ育つ向こうの連中は根っから動きが鈍いよなぁ。
 そういやあ、チオルイ山の半分が消えて以来テハの村は少し寒さが和らいだって話だが、住民たちの体質に変化はないんだろうか。記憶と一緒にそこらも変えられちまうのか?
「オータ君とナズ君を見てたらエリンとリオの小さい頃を思い出すよ」
「へぇ。似てんのか? 全然想像つかないんだが」
「見た目や性格というより、動きがな」
 エリンちゃんは動作もてきぱきしているし、意外と足も速い。リオは昔から慎重派なところがあって、素早く走ったり反射で動くよりも立ち止まって周囲をよく観察するタイプだったらしい。幼馴染みとして二人はうまく役割を分担している。
 身のこなしに優れたオータが動物を捕まえて世話してる間に、ナズは小屋を掃除して餌の準備をする。あいつらを見てると、俺の知らないリオたちの昔に思いを馳せることができた。



 31 / 43 

back | menu | top