ナティア×ダリアン
ダリアンは今、足の爪を切っている。私なんかは戦ってるうちに磨り減ってしまうからわざわざ切ったら痛いくらいなんだけど、エルフは違うんだろうか。爪や髪が伸びるのが早いのかもしれない。個人的には、それより髪を切った方がいいと思う。
彼は爪を着るくせに髪は長く伸ばしている。母親似だというプラチナブロンド、地底ではあまり見かけない細くてしなやかな美しい髪だ。女顔を嫌がるわりにはどうして髪を刈らないのか聞いたら、父親の言いつけだからと仏頂面で教えてくれた。
肩より長く伸ばした髪を降ろせばトンガリ耳が隠れる。エルフであることを知られなければ、人間に見せかければ厄介事もある程度は避けられる。それでもやはり人目を引くダリアンの容姿が、彼の父親は心配で堪らないのだろう。
爪切りの邪魔にならないよう彼は髪を結い上げていた。日に焼けていない白い首筋が磨き抜かれた石みたいに美しい。気がつくと手を伸ばし、触れれば意外にもあたたかいうなじに口づけていた。
ダリアンは振り向きもせず俯いたまま「くすぐったい」と言った。
「すべすべして気持ちいい」
「……はあ。アホらしくて怒る気もなくすよな」
ならばとお言葉に甘えて何度もうなじにキスをする。髪をあげて背中を丸めて、白い肌が薄紅に染まる。やけに色っぽくて姉を思い出すんだ、なんて言うとさすがに怒られるだろうから顔をくっつけたまま黙っておく。
生き物らしからぬ滑らかな感触はついついさわってみたくなる。そのくせ唇を強く押しつければ確かな脈動を感じる。綺麗でやさしくてあったかい。
私が家族を……まだ昔、家族と呼べるものを持っていた頃の記憶が甦って、なんだか安心するんだ。