エリッサ×ソロナ
寒い寒いとうるさいソロナは話している分だけ暖くなるとでも言うかのように絶え間なく喋り続けた。
まったく元気なやつだ。メジャイというのはどちらかといえば無口なやつらだと思っていたが、彼女を見てるとその印象が覆される。オーレイ帝国の道化か何かみたいに喧しかった。
ソロナはサークル・オブ・メジャイだ。言動からは想像もつかないが、これでも筆頭魔導師が一目置くほどの優秀な人材らしい。だったら炎の魔法でも使って寒さを和らげればいいのにそうしないのはサークルの教えを真面目に守っているわけでは決してなく、単に変身魔法を覚えてから火が苦手になっただけだという。
心までも動物に成り下がるなんて、ある意味では変身の才能があるんだな。今この雪に埋もれてクマになってみたりすればいいのに。そのまま冬眠してしまえ。
空からは水っぽく重たい雪が降り続き、彼女からは意味のない言葉ばかりが放たれて、穏やかなはずの冬の一日にうるさくて仕方ない。そんなにしゃべってばかりいたら口の中にまで雪が入り込みそうだ。赤い舌に雪片を乗せて、そうしたらソロナはまた寒いと文句を言うのだろう。
「ちょっとは黙れ。体の中まで冷えるぞ」
何か反論しようとまたソロナが口を開いた隙をつく。止まることを知らない唇に私のそれを重ねて閉ざし、舌をねじ込んで封をする。一瞬だがようやく静かになった。魔道士を静者にしたがる輩がいるのも無理はないな。
「……ぶはあっ! な、何やってんだエリッサ! 黙らせるためにいきなりキ、キ、キスなんてあんたそういうキャラじゃないでしょう」
「キャラの問題じゃないと思うけど」
一応黙らせるためだということは分かるんだなと妙な感心をしてしまう。
「何なんだ狙ってんのか私を、狙われてるのか!?」
感情そのまま並べただけの分かりにくい口調に苛々した。サッと手を伸ばして髪を掴み、反射的に逃げようとしたソロナを無理やり引き寄せる。再びの口づけ。
さっきよりも強く、貪るように彼女の舌を吸い、喉奥を舐めあげた。呼吸困難その他でソロナの顔が真っ赤になり、ゆっくりと引き抜いた舌を銀糸が繋ぐ。
「あぅ……」
小さく唸ったきり、まるで初心な乙女のように俯いて頬を染める彼女に驚いた。こいつ、純情な青少年をからかう時にはえげつないジョークも平気で飛ばすくせに、自分がされると恥ずかしいのか。
何はともあれ静けさが戻ってきた。こんなに赤くなっているのだから、たぶんソロナも寒さを感じなくなっただろう。