3
「あれ、蜂谷さんじゃないですか?」
「げ、安室さん。」
「げって・・・、酷いですね。」
「ストーカーですか?」
「これは手厳しい。」
「迷惑だって気付かないなんて、公安さんも頭のお悪いことで。」
「ははは。」
何の因果か阿笠博士のところに頼みごとをしようと出かけると目の前には安室透基降矢零の姿があり、この前同様挙動不審な私を発見した彼は満面の笑みでこちらに向かってきた。
「お茶しませんか?僕おごりますので。」
「遠慮します。」
「オススメのカフェがあるんです、そこのカフェオレはアイスが乗っていて美味しいと評判で。」
「ちょ、ちょっと。」
この有無を言わせないようなやり方は赤井さんに似ている、お互いにというか安室さんがただ一方的に赤井さんを敵視しているように見えるがそういう関係になってなお、この二人が似ているのは醸し出す雰囲気が似ていたり、お互いの信念が似ているからなのだと思う。
「何か言いました?」
「類は友を呼ぶってやつですね。」
「は?」
あの二人が類友とは爆笑ものである。二人の前でそれを言ったら安室さんは激怒し、赤井さんは含み笑いを浮かべて煙をはくだろう。そんな想像をしながら安室さんに連れられて彼オススメのカフェに連れてこられた。
「喫煙席でいいですか?」
「え?」
「タバコ吸ってらっしゃるんでしょ?少しですが匂いがします。」
「まぁ、吸ってはいますけど。」
「あと、気に入らないやつの匂いもします。」
「え?」
「先に席に行っててください、飲み物を買っていきますので。」
なぜ喫煙者だとばれたのか「すっごい鼻が良いんですね、ワンちゃんみたい。」と言いたいが言ったら多分怒られるだろう、鼻が良いのは当然だが、どうせお得意の「調べさせていただきました。」だろう。プライバシーを勉強しなおしてこい。
「お待たせしました。」
「ありがとうございます、本当にもう、毎回、毎回。」
「いいえ、僕が誘っているんですから。それにこの間約束しましたし。」
「で、なんですか?」
「なんですか、と言いますと?」
「ただお茶に誘ったわけではないですよね、なにか話があったんじゃないですか?」
「さすがですね、隅っこの席を取ってくださったのもそのためですか?」
「えぇ。」
- 106 -
*前次#
ページ:
ALICE+