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赤井秀一SIDE




CIAから今回の組織の取引の内容など諸々報告を受けて、FBIも尚一層忙しさを増している。今回の取引を潰すためにより多くのものが動いている。FBIはもちろん CIA、公安、ボウヤもおそらく一枚噛んでくるだろう、そしてGIG。




気がかりなのは彼女が所属する組織のこと。今回のことに関わらせたくはなかったが、家で大人しく待っているような人間ではないことはわかっている。そういうところに心底溺れているようなものだが。




「ちょっと、秀。もうすぐ会議の時間よ。」




「あぁ、わかってる。」




「なに?まさかこの忙しい時に、かわいい彼女のことを考えていたとか言わないでしょうね。」




「・・・そのまさかだ。」




「心底惚れているところ悪いけど、惚気話はまた今度。今は会議が最優先事項よ。」




「一服したら行く、先に行っていてくれ。」




喫煙室に行きタバコに火をつける。火をつけたのは彼女が吸っているタバコで、彼女に会えない寂しさを紛らわすとは言ってはいたがあながち間違いでは無くなっている現場にはお笑い種だ。




このタバコに火をつけると嫌でも思い出す彼女の顔。「大切な人がいなくなるのは見たくない。」と言っていたのは彼女の家族のことだろう。




気になってしまい、携帯に手をかける。慣れた手つきで彼女の携帯の番号を打っている自分も相当溺れているのだと思う。




「出ないな。」




何度コールしても出ない。だが携帯は留守電になっているわけでは無くただ呼び出し音が鳴り続いているだけ。



「赤井さん、会議始まりますよ。ジョディさんが怒ってます。」




「あぁ、待ってくれ。」




「どうかしましたか?」




何度も鳴り続けた電子音が切れ、通話状態になる。しかし、彼女の声は一向に聞こえてこない、それどころか雨音が大きく聞こえる。




「誄?」




「あ、かい・・・さん。」




「今どこにいる?」




「あかい、さ・・・たすけ、て。」




「おい!」




「どうしました?」




「会議は参加できないとジョディに伝えてくれ。」




「あ、ちょっと!」




急いで車に乗り込みもう一度彼女に電話をかける。




「クソッ、出ないか。」


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