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身体中が痛い。このまま目を瞑って眠ることができたらどれだけ楽だろうか。そして元の世界に戻ることができたら。平和ボケしてしまっている頭がそんなことを考えているなんて。われながらなにを考えているんだか。
助けなんて来ないかもしれない。だって車が通る音なんてさっきから一度もしないし。熊も出そうな森の中だし。春になって冬眠から覚めた熊がお腹ペコペコのまま私を見つけたら多分食べられてしまうんだろう。
携帯電話が目の前にあるものの、体が痛くてうまく動かせない。
ピピピピピピピ
こんな時にかけてくるなんて、よっぽど空気の読めるイケメンだと思いながらギシギシ軋む指で通話ボタンを押した。
「誄?」
本当に空気の読めるイケメンは違う。
「あ、かい・・・さん。」
声を聞くだけで、涙が出てくる
「今どこにいる?」
助けに来てくれるって。
「あかい、さ・・・たすけ、て。」
心から思える。
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