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重たい瞼を開けると目の前には見慣れ無い天井があって薬品の匂いで満ちている。目線を移すと赤井さんがいた。こちらを見て心配そうな顔をしている。普段無表情なのにそんな表情を見れるのが嬉しい。




「赤井さん?」




「大丈夫か。」




「はい、ありがとうございます。」




「よかった、無事で。」




体が起こせない私を気遣うように赤井さんが私の体を抱きしめる、私を抱きしめる赤井さんは少しだが震えている。




「赤井さんなら、絶対に来てくださると思っていました。」




「ボウヤにも、お礼を言わないとな。」




「コナンくんも来てくれたんですか?」




「あぁ、今日ももう少ししたらここに来るだろう。」




医者の話では手足は折れていないが肋骨が数本折れているらしい。呼吸するのが辛いのはそのためだという。骨はいずれくっつくのを待つしかないとして切り傷すり傷はしっかりと消毒をしないと化膿して大変なことなるそうだ。




話を聞くに2日目を覚まさずにいたようだが、今日1日様子を見て退院してもいいとのことだ。家族がいないのでその辺の手続きは全て赤井さんがやってくれたらしい、何やら何までお世話になりっぱなしだ。




しばらくするとコナンくんに阿笠博士も一緒に来た、なんでも彼に車を出してもらったらしい。そりゃ小学生、高校生では車は運転できないだろう。




「大丈夫、誄姉ちゃん?」




「大丈夫、大丈夫、骨が折れてるだけだから。」




「それ、大丈夫って言わないからね。」




「それで、なぜジンの車を追いかけていた。」




「・・・。」




「大丈夫だよ、博士は。」




「やつらを追いかけたのはたまたま奴らの車を見つけたからです。」




「どうして連絡しない。」




「別に、子供じゃないし何でもかんでも連絡しなきゃいけないってことでもないです。」




やんや、やんや赤井さんと言い争っているとコナンくんが「組織を、奴らを追いかけてたってことは今度の取引になにか関係があるの?」とベッドの隣の椅子に座りながら尋ねてくる。彼なりにこの場の空気を変えようとしてくれているんだろう。




「奴らを追いかければ何か掴めると思って。」




「今GIGで掴んでる情報を教えて欲しいんだ。」




「情報を漏らすようなことはしません。」




「そんなことを言っている場合ではないだろう。」




「FBIはなにも掴んでないんですか?」




「そういうわけではないが。」




「GIGで掴んでいる情報をお教えすることはできません。これは私がジョグに依頼をしていることですから、ルール違反になります。でも、私が個人的に掴んでいる情報はお教えします。」




「個人的に?」




「情報の出所は聞かない約束で。」




「わかった、教えろ。」




「今回組織の取引相手は海外の大手機材メーカーD-AXです。組織として取引に参加するのジン、ウォッカ、バーボン、キャンティ、コルンの計5人。相手方は社長、社長秘書、海外事業部3人の計5人。」




「5対5の取引か。」




「場所はプロムナードボックスという倉庫です、長年使われていない倉庫で今は無人の状態が続いています。」




「時間は?」




「三日後。」




「もうすぐじゃな。」




「そうだ、お姉ちゃんさ。ジンの車とか本当は全部知ってたんでしょ?」




「え?」




「だって、元の世界で漫画を読んだって言ってたじゃない?組織について知らないわけがないよね。」




「ばれましたか。」




「名演技だったね、僕たちみんな騙されてたよ。」




「女優になれると思う?」




「名悪役になれそうだな。」




「悪役は好きですよ。」


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