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「クソガキ、他の人は騙せても私は騙せないんだからね。早く泣き止まないと脳天ブチ抜くわよ。」



「拳銃持ってないのに、僕の頭打てるわけないじゃん。」




泣き真似をやめた江戸川コナンくんは私の方を見据えて指で拳銃の形を作っている。



「・・・そうね、癖で。」



「癖?」



「前に言いましたよね、私公安局にいたんです。その時の癖で。」



「情報統括の部署でも拳銃使うの?」



「情報統括はハッキングとかそういうの専門で行う部署ではないの、現場に行くこともあったし。どちらかというとパソコン使えるやつらを集めてそう言って役割を与えて使いたい時に使うって感じだんだけど。」



「お姉さん意外とすごいんだね。」



「意外とは余計ね。」



「狙撃の腕は?」



「私、接近戦専門ですので。援護は向いてないです。」



「なるほど。」



「赤井秀一さんは狙撃がお上手なんですよね。」



「ねぇ、なんでフルネームなの?」



「そういえばそうだな。」




そんなこと言われたって、別にお友達でもないんだしいいじゃない。



「じゃぁ、ライって呼んだ方がいいですか?」



「ほー、喧嘩を売っているのか?」



「冗談ですよ、赤井さんでいいですか?」



「あぁ。」



「僕は?」



「君はクソガキで十分。」



「酷いよ、蜂谷のお姉ちゃん。」




そういって車を走らせる赤井さんがふと気がついた様にその目を動かした。コナンくんがどうしたのかと問うと、私の方を向き私の膝の上にかるカバンを指差した。



「先ほど君が読んでいた本の最後が気になってね。」



「あぁ、この本ですか?」



「最後まで読んでいるか?」



「読んでますよ、この本はお気に入りなので。気持ちを落ち着かせる時とかによく読むんで。最後が気になりますか?」



「あぁ。」



「平穏を探し求めて逃げ惑う青年はやがて、自分以外誰もいない世界へと足を進めていった。そこには草木、海、空。青年とは言葉を交わさぬもの以外何もない世界、「ようやく平穏を壊すものたち方逃げることができた、僕は自由だ」青年は心底穏やかに目を瞑る。青年はたった一人で世界の平穏を壊そうともがき苦しむ時が来ることを夢に見ることもなく眠り続けていた。」



「それって。」



「簡単に言うと、気にしてもらえている内が花ってことです。」



「興味深い本だな、タイトルは?」



「「無関心の世界と虚無の少年」。です。」



「すごいタイトルだね。」



「・・・あげましょうか?」



「?」



「赤井さんに、この本あげます。」



「いいのか?」



「はい、文庫本とハードカバー持っているので。いいですよ、お古ですけど。」



「ありがたく頂戴しよう。」



「全部読んだら感想聞かせてくださいね。」



「その時はまた、カフェオレをご馳走しよう。」




楽しみにしていますと返し、車を降りると。定期報告がなんだかんだとグチグチ言っている赤井さんを笑ってスルーし家に帰る。




ただいま我が家。仏壇にお線香を添えて今日の報告をする。お母さん、お父さん、お兄ちゃん。私は絶叫系というものの概念を根本から覆されました。今度友達から遊園地に誘われたら喜び勇んでついていこうと思います。あと、名探偵に携帯番号を知られてしまいました、縁起の悪い話ですが。すぐにそっちに行くことになるかもしれません。怖い。





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