警察の皆さん、あいつに安全運転という言葉をもう一度一から教えてやってください。だってこんな車の止め方日本ではあり得ないでしょう、警察沙汰ですよ。




車のぶつかった衝撃で痛めた体を起こし車の外に出ると、コナン君を人質にかけた手川が見知らぬ女が運転してきたバイクにぶつかり、あれはぶつかったというかぶつけられたというか。なんとも体によろしくないものを当てられて地面をスライドしながら転がっていった。




人間業ではないと思うんです。




見知らぬ女はというとコナン君に抱きつき「よかった〜。」などと言っているし。みんなちょっとおかしいんじゃない。正常なのって私だけなの?




っと、私はそんなことをしている場合ではない。今目の前を通り過ぎた車には沖矢昴の姿が見えた、私はあの男にも会いたくない。だって彼は赤井秀一なのだから。




「あれれ〜、お姉ちゃんどこに行くの?」




「く、クソガキ。」




クソガキがクソガキたる所以はこういったところにある、空気の読めない発言、私の心を無視した行動。あの時会いたくないって散々言っていたのにも関わらず、沖矢昴の目の前で私を呼び止めるなんて考えられない。




「これにて失礼。」




私は走って現場を去っていった。




人をかき分けて裏道らしきところを駆使して入って沖矢昴から逃げていた。のだと思っていたのは私だけだった。




「待ってください。」




なぜ追ってくるのだろう、彼はアマゾンに住む肉食系の動物の一種なのだろうか、逃げたので追いましたとでも言わんばかりの清々しいほどの顔立ちで私を追ってきている沖矢昴。の後ろの安室透も含めて私は「お前らアマゾンに行ってこい。」と言いたい。にくしょく動物から逃げる私を何にたとえようか、カモシカ、バンビ、トムソンガゼル。




逃げているものの所詮女性と男性、足の長さだって違うし歩幅だって違う。沖矢昴に捕まるのはそこからものの数分もかからなかったと思う。




そして私は今現在、安室透と沖矢昴と対峙している。




「なぜ、逃げるんですか?」




言っていることは赤井秀一が思っていることでも話をしているのは沖矢昴、なんとも不思議な気持になる。私は一体誰と話しているのだ?ここには存在しないパラレルな存在と話でもしているかのようだ。彼は赤井秀一であって、赤井秀一ではない。


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