「捕まりたくないからです。」




「一度しっかりと話し合いましょう。」




「何についてですか?」




「・・・。」




ほら、言えない。
だってここには安室透がいるから。まだ、赤井秀一=沖矢昴であるとばれてはいけない。




「誄さん、今日はもう帰りましょう。」




差し出された手を払いのける。




「私嫌いなんです。」




「え?」




「全てを放って帰ってこない白鳥のように、何にも縛られずにただ大空を飛ぶような存在になりたい。」




「誄さん。」




「私は・・・。」




目がだんだん座っていくのが自分でもわかる、こういう時は泣くのが女らしいということだろうが、涙腺が壊れているのか何なのか、私の目からは涙さえも出なかった。




「私は、そんな姿のまま、あなたに・・・。」




「・・・。」




「行きましょう安室さん。」




「いいんですか、お話は。」




「いいです、行きましょう。」




安室さんの手をとて、沖矢昴をその場に残し。
私はその場を去っていった。


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