家族の死について調べていくうちにわかってきた事がある。唯一焼け跡の中から見つかった母の頭蓋骨には銃弾で頭を貫かれた後があった。そしてその銃弾も焼け跡から見つかっている。工具が沢山ある工場の中では銃弾は機材に当たったままその場に落ちてしまったのだろう。証拠を残さないように焼いたとしても母の頭蓋骨が残っていたぐらいだ、鉄でできた銃弾だって残っていてもおかしくはないだろう。




事件現場に残っていた銃弾は赤井秀一が愛用している狙撃銃のものに間違いなかった。銃弾から指紋は検出されなかったものの、家族が殺された時期、そして赤井秀一が諸星大として組織の中で名を挙げライといいコードネームをもらっている時期。




赤井秀一がジョディさんに言っていた相手を苦しませずに殺す方法。母の死に様はまさしくそれに当てはなっている。調べれば調べるほど家族を殺したのは赤井秀一だという事実が濃くなっていって、信じたくはないが確たる証拠がある今、それは同意ようもない、疑いようもない事実。だとしても。




確証は無かった、そして彼を疑いたく無かった。だから同じ長髪であるジンを疑っていた。疑い半分希望半分といったところだろうか。心のどこかでジンが犯人であったらいいと思っていた。だって、自分を好きになってくれた人が自分の家族を殺したなんて信じたくないら。




だが、あの時のジンの言葉で疑いが確証に変わってしまった。




「長髪の男性というだけで俺と判断するとは随分と滑稽だな。」




彼が去り際に言った一言が私の疑いを確信へと変えた。そう、私の家族を殺したのは諸星大であり、ライであり、赤井秀一なのだ。




きっと私の家族の話をしてから、赤井さんが私の家に頻繁に来るようになったのも、罪悪感からなのだろうと思っている、自分が殺した家族の生き残りが目の前にいるんだ。心優しい彼のことだから償いの意味も込めて一緒にいてくれているのだろう、告白をしてきたのもそのせいなのではないだろうか。




そんな罪悪感と共に私のところに来る彼を私は受け入れる事なんてでき無かった。私の事を「好き」といった気持ちは偽りだったのだろうか?


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