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江戸川コナンサイド
倉庫での組織の取引について電話をくれたのは赤井さんではなく誄姉ちゃんだった。状況に応じて俺もその場にとは思ったが子供の俺がその場にいても足手まといになるというので誄姉ちゃんの教えてくれたBar Grandでジェイグさんと誄姉ちゃんの帰りを待っていた。
夜明けぐらいに誄姉ちゃんは帰ってくるはずだった、だが来たのは電話が一本だけ。
「ごめん、組織を取り逃がした。」
一言だけ告げると電話は切られてしまった、その後誄姉ちゃんの家に行くと死んだ魚のような目をした誄姉ちゃんが玄関から出てきた。赤井さんには連絡を入れていない、赤井さんとは会いたくない、の一点張りで仕方なくこちらも誄姉ちゃんの居場所はわからないということになっている。
誄姉ちゃんから話を聞くとどうやら誄姉ちゃんの家族を殺したのは赤井さん、組織にいた頃の諸星大らしく、お姉ちゃんはずっと赤井さんが両親を殺したと知っていて、それを否定するための証拠を探し続けていたのだという。組織にいる人間、そしてあの頃の組織にいた長髪の人間で諸星大以外に狙撃ができた人間を探していた。誄姉ちゃんはそれをずっとジンだと自分に言い聞かせていたのだという。
そうまでして赤井さんを家族殺しから除外したかったのは誄姉ちゃんいわく、自分が心底赤井秀一という人間に惚れていて、家族を殺したのが恋人だということを事実から除外したかったからだという。
「僕、二人が付き合ってるなんて聞いてないんだけど。」
「言ってなかったっけ?」
「言ってない、だって付き合ってないって言ってじゃん。」
「言ってたけど、赤井さんってほら狼だから。」
「小学生相手に何言ってるの?」
「高校生でしょう。」
「高校生相手だとしても言っていいこととダメなことがあるでしょ。」
「じゃぁ、言い方を変えるわ。赤井さんはさ、ほら・・・猟犬だから。」
「あまり変わってないような気がするけど。」
赤井さんが犯人だと断定できる事実が集まる中、ジンと対峙し。それが確信に変わった今。自分は赤井さんとは一緒にいてはいけない。一緒にいるべきではない。そうしないと自分はいつか憎悪と悲壮で赤井さんを殺してしまう。とお姉ちゃんは言っている、FBI捜査官である赤井さんがそうやすやすと殺されるわけがないとは思うが、このお姉ちゃんのことだ、殺すという意味が違うのだと思う。肉体を殺すのではなく、精神を殺すという意味なのではないだろうか。
そしてあの事件、安室さんが誄姉ちゃんと親しい中だということはなんとなくだがわかってはいたが、誄姉ちゃんを追っていったはずの赤井さんと安室さん、そこから戻ってきたのは沖矢さんに扮した赤井さんだけで、聞くと誄姉ちゃんは安室さんを連れて姿をくらましたという。それから誄姉ちゃんとは連絡が途絶えている。もちろん、赤井さんの携帯も同じ。
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