若干肩を落とす沖矢昴を尻目に今回の事件が解決したら沖矢昴さんがなんでもやってくれるという楽しみが膨らむ。何をして貰おうか、欲しい本があったから買って貰おうか、結構値が張る本だったし、揃えるならシリーズで揃えたいから全部一気に買うとなるとお金がかかるんだ。




「で、何を調べればいいの?」




「メモリーズエッグについてなんだけど。」




「何だそりゃ?」




「鈴木園子って僕が居候している毛利探偵事務所に入る蘭姉ちゃんの友達なんだけど、そこのおうちの蔵から見つかったものなんだ。」




蔵って、どんだけ豪邸に住んでいるんだ鈴木園子。
確か漫画でもどっかしらを貸切にしたりとか、凄いことしていたなぁ。




「そのメモリーズエッグ?を調べてどうすんのさ?」




「キッドが来るんだ、それを狙って。」




「キッドって。」




「怪盗キッドです、コナンくんは是が非でも彼を捕まえたいそうで。」




「キッドを捕まえるためにはそのメモリーズエッグがどういうものなのかが知りたいんだ。」




「そんなの、自分で調べなさいよ。」




「小五郎のおじさんがその件で警視庁に行くって言うから一緒に行こうとしたんだけど。」




「怒られたそうです。」




「バカじゃないの?」




「うるせーよ。」




「このクソガキ、口の聞き方を治しなさいよ。」




弾力があるコナンくんの頬を両手で引っ張っているとコナンくんの隣に座る沖矢昴が一度咳払いした。




「私の方でも調べようとしたのですが、なかなかうまくいかなくて。」




「だから蜂谷のお姉ちゃんにお願いしようって。」




「しようって、じゃないからね。巻き込みたくなっていったのはそっちなのに、もうどっぷりそっち側に浸かっちゃってるじゃない私。」




「袖触れ合うも多少の縁ってことで、お願いします。蜂谷さん。」

こいつら、絶対確信犯だ。どうせ「調べ物なら蜂谷のお姉ちゃんにお願いしようよ。」「それはいいですね、では行きましょう。」みたいな会話を工藤宅で繰り広げてここに来たってことでしょう。




でも、もうしょうがない。今ここでごねても展開が変わることはないのだから。


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