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「北の沢ダム?」
「はい、先日爆破事件にあった朝倉都知事が先導して行ったもので。なんでも・・・」
「朝倉都知事は元国土交通相の大臣で、任期中に新潟県のある村を潰して建設されたのが確か、北の沢ダムですよね?」
「詳しいですね。」
先日開通したばかりの東都線の爆破に巻き込まれた朝倉都知事は都知事になる前は国土交通相の大臣をしていたらしい、そのときに行ったのがダム建設である。新潟県の北の沢村を潰しそこに北の沢ダムを建設した。
ダムの建設にあたり都知事が行ったことは村民との平和的対話で1週間近く村に滞在し、村民一人ひとりと対話を重ね、温厚な関係での村の移転をしたらしい。新しい村の建設に3年、ダムの着工から終工まで5年といういれいにはやさ出会ったことも取り上げられている。
「ところで。」
「なんですか?」
「誄さんは雪好きですか?」
「この前もですが、なんで名前呼びになっているんですか?」
「もうただの顔見知りという関係ではありませんし。」
「誤解を呼ぶ言い方ですね、零さん。」
「・・・なんかグッときますね。」
「本当にどうしようもないですね。」
安室さんはキッチンでコーヒーを入れて私の前に置いた、カップからは良い感じに湯気がたっていて冷え切った体を温めるためにそこにあるかのような出で立ちだった。
大学生の私は無事に卒業論文を書き終えて大学に提出、あとは沢山の教論の前でその論文をしっかりと間違えずに読むだけとなっていた。ちなみに論文のテーマは「犯罪における集団心理の逃口」である。恐怖は伝染するとは上手く言ったもので一人が恐怖を訴えればそれはウイルスのようにその場に居合わせた人間に伝染し、最終的にはそこに居合わせた人間全てが恐怖に身をすくめるというものである。そして心の自制が効かなくなる。よく聞く立てこもり犯に協力する人質というのもこう言った心理からくるものであり分別の判断が正常にできなくなっている状況なのである。
この手の論文を書こうと思ったのは私に降りかかってきた多くの殺人事件が原因の一つであると私は思っている。
簡単に簡潔に言おう、あいつらのせいだ。
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