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ダムについてみるとすでに爆弾は何個か爆発していた。それに準じて次の爆弾も、と連鎖的に爆発していくものだからもう、どれか一つを止めればいいという問題ではなくなっていた。




モービルからおり、ダムの上から逃げてくる子供達とその他諸々を救出しているとこのたび最大の爆音とともにダムはその形を失い、塞き止めいた水も村へ向かい一直線に流れ始めていた。




一瞬コナン君の姿が見えたのは私だけだろうか。いや、そんなことはない。彼はスノーボードに乗りこの雪崩を止めようとしている。




「誄さん?」




「モービル借ります。」




近くにあった、おそらく山尾さんの乗ってきたスノーモービルに跨り右手をひねりエンジンをかける。エンジンから出るガスで後ろにいたみんなが雪をかぶってしまっただろう、本当に申し訳ない。




「誄さん!!」




「誄お姉さん。」




途中安室さんの声とともにスノーモービルの音がしたから多分彼も追ってきているのだろう。でもよかった灰原哀ちゃんは彼のことあまり好きではないみたいだから。一緒にいる時間が短くてよかったね。




「誄お姉ちゃん、どこに行ったの?」




「まさか、誄さんも雪崩を止めに!?」




水の勢いは尚一層増していき、これでは村を一飲みするのも時間の問題である。きっとコナン君はこう考えている。




「スキー場の雪で雪崩でも起こそうって?」




そういう突発的な思い込みは嫌いじゃない。小説にもよくあるでしょう、こんなことは絶対にできない、でもフィクションの世界ではそんなこと簡単にできてしまう。私もこんなことがしたいって。




スノーモービルのエンジンを全開にしてコナン君を追う、安室さんのモービルの音は聞こえないから多分ここまで追ってはきていないんだろう。




コナン君のところまでもう少し。




「新雪で雪崩を起こして村を救おうだなんて、親切だね。」




「誄姉ちゃん!なにやってんだ、早く逃げないと!」




「それはこっちのセリフだ。でも、今からなんて逃げ場ないでしょ。手伝うよ。」




「・・・わかった、行こう。」




木々がすごい速さで目の前を通り過ぎていく。それぐらいスピードを出しているということだろう。途中ダムから流れる水の上を少し走った。これは雪の上を走る乗り物だからスノーモービルというのであって決して水の上を走るようには作られていない。そう作られていたらウォーターモービルとかいう名前になっているだろう。




「見えた。」




「コナン君左回りから。」




「オッケー。」




二人で親切の上を右に左に走っていく、雪に切れ目を入れて雪崩を起こしてあの水を止めなければならない。だがこんなちっぽけな私たちの力では足りないとばかりに新雪はその場に鎮座ましましている、コナン君はその場に膝から崩れ悔しそうに雪を叩いている。




何かの音がする、それは雪が崩れていく音で今まさに私たちがいるこの場の雪が崩れて落ちて行こうとしている。雪崩がくる。




「やべぇ。」




「マジでやばいって。」




雪を崩すために雪山を登っていた私たちだが、今度はその雪に追われて急加速で山を下っている。こういうことも計算に入れて計画を練って欲しいものだよコナン君。山を下って行く途中車が目に入る。




「車だ。」




「蘭たちが乗ってる。」




「・・・沖矢さん。」




目があった気がした。あの細目の沖矢さんと、そんな気がしていたらコナン君が雪の段差につまづき一瞬だが時がとまた気がした。




手が伸びて、コナン君の腕を掴む。衝撃で飛んで行ったボードなんてまた博士に作って貰えばいい、コナン君を後ろに乗せて山を下る。




「後ろ、どんくらいやばい!?」




「もうそこまで迫ってきてる!早く!」




「飛ばしてんだってこれでも!」




どうしたもんだかもう雪崩に巻き込まれるのは必至だと悟った、次に考えるのは犠牲は一人で十分だということ、コナン君を雪崩から救うにはどうしたらいいか。




「コナン君、なんか宙に浮くもの持ってたりする?」




「持ってねーよ、んなもん!」




「だよね!」




「お、おい何して。」




コナン君が掴んでいた自分の服からコナン君の手を離させると彼は動揺したように少し下がった。




「ナイスポジション。」




「え、ちょっと!」




雪崩がコンマ数秒というところに迫ったところで急ブレーキをかける。ブレーキは普通前の方がよくかかるようにできている、きっとこれもそうだろう。だから、急ブレーキをかけてモービルの後ろの部分を高く上げさせる。体重の軽いコナン君は思った通り空高く飛んだ、コナン君を宙に飛ばすのがうまいなぁとモービルに乗りながら感心して空を見上げた。




「誄ねえちゃあああん!!!」




雪崩が私とスノーモービル諸共飲み込んでいった。冷たいんだか何なんだかもわからずにただ流れてくる雪の重さやなんやらと一緒に下の方へ雪崩ていった。



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