部屋に残されたのは私と沖矢昴基赤井秀一。出来うることならこの重たい空気をなんとかしてほしい。赤井さんならまだ本の話なんかで場をつなげそうなきがするが沖矢昴となると別である。同一人物というのは重々承知の上だがこの何を考えているかわからない笑みが私はなんとなく苦手で、なんでこの男も一緒に連れて行ってくれなかったのだろうかクソガキ。




「予告状の解読をしましょうか?」




「は?なんのために?」




「暇つぶしです。」




「・・・そうですか。」




「ではまず黄昏の獅子から暁の乙女へですが。」




「フ、フフフ・・・あははは。」




「どうかしましたか?」




警視庁のパソコンには随時会議の内容が書き込まれる。もちろんそれを私は見ているわけだが。沖矢昴が解読に取り組むと同時に警視庁のその見解が打ち込まれた。




「警視庁はその文を獅子座の最後の日から乙女座の最初の日までって解読したらしいですよ。」




「ほー、では日付的に明後日ですね。」




「光る天の楼閣は天守閣、大阪城らしいです。」




「なるほど。」




「でも、なんで大阪なんですか?」




「鈴木財閥が8月23日から大阪城公園に鈴木近代美術館をオープンするらしいですよ。」




「それでですか。」




「蜂谷さんはこの予告状、どう推理しますか?」




「あまり興味がないのでなんとも、でも美術館へは行ってみたいですね。」




「好きなんですか?」




「美術館、博物館とかは好きです。」






沖矢昴が帰った後、もう一度パソコンを起動させる。
怪盗キッド「怪盗1412号」世界をまたにかける泥棒で、アメリカ、フランス、ドイツと合計15カ国もの国から宝石を盗んでいる。




「この話はおそらく映画の中の話か。」




友達に連れられて映画館に見に行った記憶がある。具体的にどんな話かと聞かれるとこれがなかなか思い出せないのだが、時系列から行ってなんでこの時期に、と疑問も残る。




映画のタイトルは「世紀末の魔術師」だった。




「この世界に来ていきなり映画の話ですか。」


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