昨日の晩、キッドが撃たれ警察の啓明な捜索虚しく海に落ちたであろう怪盗キッドは見つからなかった。インペリアルイースターエッグはキッドがハングライダーから落ちた際に一緒に落下したので、念のため傷がないかを確認するため急遽展示を取りやめ鈴木財閥が所有する船で東京へと運ばれることになった。




「どうして、蜂谷のお姉ちゃんと、昴さんが一緒になって大阪にいるの?」




「蜂谷さんが近代美術館を見たいと言いまして。」




「私のせいみたいに言ってますけど、車出すから来いって言ったのは沖矢さんですから。」




「まぁまぁいいじゃないガキンチョ。その辺にしてやんなよ。」




「園子お姉ちゃん。」




「初めまして、私鈴木園子です。こっちはガキンチョが居候している家の毛利小五郎さんと、娘の毛利蘭。こっちは私のパパ。」




「初めまして、蜂谷誄と言います。毛利さんのお噂は予々伺っております。」




「ははは、どうも。」




電話の後、エッグが展示されないというので帰ろうとしていたら鈴木園子さんの計らいで私と沖矢さんも鈴木財閥が所有する船に乗せてもらい東京に帰ることになった。正直助かったまたあの道のりを車でなんて疲れてしまう、まだ運転をしていないからいいものあの距離をまた運転させてしまっては沖矢さんが疲れてしまう。




「近代美術館に行くとこだったてことは、エッグを見に来たの?」




「まぁ、そうですね。それも一つの目的で。ですが展示を取りやめたみたいで。」




「ちょうどここにエッグがあるから一緒に行きましょうよ。」




「え、いいんですか。見せていただいて。」




「大丈夫!大丈夫!さぁ、行きましょう。」




鈴木園子さんに手を引かれてエッグが鎮座するテーブル近くの椅子に腰掛ける右隣には蘭さん、左には沖矢さんが立っている。




「私、香坂夏実と言います。私の曽祖父は喜一と言いましてファベルジェの工房で細工職人として働いていました、現地でロシア人と結婚をして革命の翌年日本へ帰り曽祖母は女の赤ちゃんを産みました。ところが間もなく曽祖母は死亡、9年後曽祖父は45歳の若さで亡くなったと聞いています。」




「その赤ちゃんというのが。」




「私の祖母です。私の両親は私が5歳の時に交通事故で亡くなりました。私は祖母に育てられたんです。」




「その大奥様も先月亡くなられてしまいました。」




「私はパリで菓子職人として働いていましたが帰国して祖母の遺品を調べていましたら、曽祖父が書いたと思われる古い図面が出てきたんです。」


- 21 -

*前次#


ページ:



ALICE+